140周年にして存続の危機!?駅弁を「登録無形文化財」にする取り組みが進行中

新幹線を利用する際の醍醐味のひとつといえば、“駅弁”を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。実は2025年は、駅弁が生まれて140周年を迎えた年。製法技術や郷土料理の伝承を担ってきた文化的価値に着目し、駅弁を国の「登録無形文化財」にしようという試みがおこなわれている。
●奥が深い駅弁の歴史
なぜ、駅弁を国の「登録無形文化財」にしようという流れになったのか。話は2024年に遡り、文化庁の「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業に、広島駅弁当株式会社の「郷土料理伝承に不可欠な駅弁の調査研究・価値再構築事業」が採択されたことがそもそものきっかけだ。
この取り組みを2025年度にJR西日本が継承し、現在はJR各社や各地の駅弁業者と協力しながら「登録無形文化財」を目指している。
駅弁の歴史は諸説あるものの、1885年7月16日に宇都宮駅で発売された「黒ゴマをまぶした梅干し入りおにぎり2個とたくあん2切れ(竹の皮包み、5銭)」が最初の駅弁だといわれている。その後1889年には姫路駅で二段重ねの“幕の内弁当”が登場。明治30年代には、「鯛めし」「鮎ずし」「あなごめし」など、地域の特産を活かした「ご当地駅弁」が誕生し、販売されるようになった。
以降、駅弁は“旅のお供”として人気を集めるようになったが、現在はコロナ禍を経たことや「鉄道の高速化による移動時間の短縮」「コンビニエンスストアの普及」などにより、事業者は最盛期の約2割まで減ってしまったという。駅弁業界にとっては「存続の危機」的状況ともいえるだろう。
ちなみに1993年に4月10日が「駅弁の日」と制定されているのだが、春の行楽シーズンの4月ということ、弁当の「弁」の文字が4と十の組み合わせに見えること、「当」が「十(とお)」につながるということから、4月10日を「駅弁の日」にしたそうだ。
旅をより充実させるためにチェックしておきたい駅弁だが、その種類は様々でどれも魅力的である。どんな弁当があるのか迷った際には、食べた駅弁は2,500食以上の漫画家&文筆家・やすこーんの書籍「ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇」がおすすめ。駅弁・駅そば愛好家としても知られる“やすこーん”の本をおともに、旅を楽しんでみては?
●やすこーん著書
●様々な駅弁を見たい方に
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掲載: 2025年12月24日 19:00

