『激ロック』スペシャルコーナー【12月レコメンドアイテム】

OF MICE & MEN / 『Another Miracle』
GENRE : METALCORE進化し続けるUSメタルコア界の雄、セルフプロデュースで挑む最新作!
結成から15年を超えるキャリアを重ね、現編成となってからも立ち止まることなく精力的に新作をリリースし続けている、現代USメタルコア界の雄による通算9枚目の最新作。本作はセルフプロデュースに挑んだ作品でもあり、また名門“Century Media Records”移籍後初のアルバムということで、彼等の新たな一歩に相応しい作品だと先に結論付けてしまおう。OM&Mらしいスタジアム級のアンセミックなコーラスと骨太のメタルコアというスタイルは健在ながら、アコースティック・ギターやエレクトロの要素を取り入れていっそう洗練された楽曲群はどれも粒揃いの出来栄え。SLEEP TOKENを思わせる「Flowers」のようなダークな抒情性が際立つ曲も素晴らしい。快作!
井上 光一【ライター推薦】
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SET IT OFF / 『Set It Off』
GENRE : EMO PUNK壮大に、エモく、大胆に――SET IT OFF渾身のセルフタイトル!
シンフォニックでドラマチックなエモ・ロックを奏でるSET IT OFFが、6作目にしてセルフタイトルとなるアルバムを完成させた。しかも、今作からFearless Recordsを離れ、自主レーベルでのリリースということで気合十分。いきなり弾丸ラップとヘヴィなインダストリアル・ロックを取り入れた迫力のオープニング・トラックから、SIOらしいシアトリカルなエモ・パンク、スタジアム級のダイナミックなラウドロックが続く。エレクトリックも駆使しつつ、パワフルなバンド・アンサンブルに重きを置いているのも今作の特徴。ポップでダンサブルな前作からすると、感情的で激しいロックへ大胆に寄った印象だ。個人的にはこのくらいの活きの良さが好み。
山本 真由【ライター推薦】
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TRIVIUM / 『Struck Dead』
GENRE : METALCORE, THRASH METAL現代ヘヴィ・メタル・シーンの最前線をひた走るTRIVIUM
過去と未来が交差する、バンドの次なるステージを占う重要な一枚
3曲入りというコンパクトな作りだからといって侮るなかれ、今や大御所と言っても過言ではない立ち位置で現代ヘヴィ・メタル・シーンの最前線をひた走るTRIVIUMの最新スタジオ音源は、約18分のEPという形ながら彼等らしさが余すところなく詰め込まれた非常に濃い内容となっている。重厚なギター、激烈なドラムス、荒々しい咆哮と心に響くエモーショナルなヴォーカルで魅せるTRIVIUM流のヘヴィ・メタルは間違いない出来栄えで、7分を超えるプログレッシヴでドラマチックな「Six Walls」のような長尺曲も長いキャリアを経たバンドならではの貫禄を感じさせる。過去と未来が交差する、バンドの次なるステージを占う重要な一枚と言えよう。
井上 光一【ライター推薦】
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THE DEVIL WEARS PRADA / 『Flowers』
GENRE : METALCORE, POST-HARDCOREMike Hranica(Vo)&Jonathan Gering(Key/Syn/Prog/Perc)中心に
外部ライター招いて制作された“プラダを着た悪魔”の9thアルバム
前作『Color Decay』(2022年)の成功でベテランとしての矜持を見せた“プラダを着た悪魔”。通算9枚目となる本作を語る上で欠かせない背景として、バンド・メンバーの半分が作曲等のクリエイティヴな作業に参加せず、Mike Hranica(Vo)とJonathan Gering(Key/Syn/Prog/Perc)を中心として外部ライターを招いた形で制作されたという点が挙げられるだろう。デビュー時からスタイルに固執せず、本作でもハイブリッドなメタルコアからシンセ・ポップに近い曲まで、幅広い音楽性を破綻させずに一枚のアルバムへと落とし込む手腕はさすがの一言だが、先に述べた本作の制作過程を鑑みてどう捉えるかはリスナー次第と言えそうだ。
井上 光一【ライター推薦】
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ANNISOKAY / 『Abyss - The Final Chapter』
GENRE : POST-HARDCOREドイツ出身の4人組がEPシリーズ“Abyss”の集大成としてドロップした
既存ファンにも入門としてもおすすめの一枚
ドイツ出身の4人組 ANNISOKAYが、2023年からリリースしてきたEPシリーズ“Abyss”の集大成として、EP 2枚をコンパイルし新曲を追加した一枚をドロップした。エレクトロニクスと強靭なブレイクダウンをフィーチャーしたポストハードコア、エモーショナルなクリーンVoと獰猛なスクリームの掛け合いというバンドの魅力は保ちつつ、さらに壮大なスケール感が加わった内容は聴き応え十分。シンセ・ポップやテクノ等アレンジの幅も広がったことで、アグレッシヴな展開との対比が鮮明になっており、ANY GIVEN DAYとのコラボ曲「H.A.T.E.」は持ち味を存分に発揮したハイライトと言える。バンドの既存ファンはもちろん、入門としてもおすすめしたい。
菅谷 透【ライター推薦】
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THE PRETTY WILD / 『Zero.Point.Genesis』
GENRE : NU METALCORE, METALCOREラスベガス出身の姉妹デュオ THE PRETTY WILD
ハイブリッドな音楽性を軸にクラシック音楽にも影響を受けた2人のデビュー作
TikTok上でのヴァイラル・ヒットも経験し、現在メタル・シーンにおいて特異な存在感を放っている、ラスベガス出身の姉妹デュオとして活動するTHE PRETTY WILDのデビュー作。自らの音楽性を“Y’allternative”と称しSPIRITBOXを思わせる重厚且つ洗練された現代的なメタルコア、ニューメタル、カントリー、エレクトロニックの要素も盛り込んだハイブリッドな音楽性を軸としつつ、クラシック音楽にも影響を受けたというこの2人。シアトリカルな世界観と巧みなストーリーテリング、ヘヴィな面も押さえた抜群にキャッチーな楽曲群は、デビュー作とは思えない完成度の高さだ。今後のさらなる躍進は約束されたようなものであろう。
井上 光一【ライター推薦】
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AVRALIZE / 『Liminal』
GENRE : METALCORE注目のドイツ産モダン・メタル・バンド AVRALIZE
20年代ど真ん中のセンスで生み出した2ndアルバム
近年、UNPROCESSEDやSENNA、VIANOVAといったようにテクニカルなメタルコアというざっくりとした枠の中で、ジャンルレスなサウンドを非常に洗練された形で提示するバンドがドイツから多く登場しているが、本作が2ndアルバムとなる4人組、AVRALIZEも間違いなく注目すべきドイツ産のモダン・メタル・バンドの1つであろう。アグレッシヴなグロウルやブレイクダウンといったブルータリティの演出はもちろん、ファンク・グルーヴにポップス、EDMでさえも、彼等にとっては楽曲の中で必要な要素の1つでしかないという明快なスタンスが実に痛快。まさに20年代ど真ん中のセンスで生み出した一枚に仕上がっている。
井上 光一【ライター推薦】
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【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリー・マガジン、ポータル・サイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライヴ・イベント、24年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷/新宿/下北沢に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」、また渋谷にあるロック・ファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営等、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティヴ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2025年12月24日 15:31
