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読み終える頃にはクラシックを好きになる!?クラシック系YouTuber「たくおん」式クラシックの楽しみ方に注目

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「専門知識がないと楽しめない」イメージが強いクラシック音楽。「敷居が高い」と敬遠されがちなクラシックを「なんで今まで、食わず嫌いしてきたのだろう」と思わせてくれるかもしれない1冊が、本書『これが規格外の楽しみ方!たくおん式なるほどクラシック』だ。

ウィーン在住ピアニストであり、クラシック系YouTubeチャンネル「TAKU-音TVたくおん」を運営している著者・石井琢磨。2025年10月2日現在、チャンネル登録者数32.7万人を誇る石井が書いた渾身の1冊には、「クラシックをもっと身近に感じてほしい」という彼の思いが込められている。本書を読み終える頃にはあなたも、身近なところからクラシック音楽に触れてみようという「好奇心」を抱けるかもしれない。

●「音楽の都」ウィーンの魅力

「音楽の都」と名高いオーストリアの首都・ウィーン。緑の田園地帯が広がるこの町は、3年連続で「世界でもっとも住みやすい都市」ランキング第1位に選ばれている。

「音楽の都」という名の通り、音楽が人々の生活に根付くウィーン。ワルツなどのクラシックが様々な場所で流され、エンターテインメントとして気軽にクラシックのコンサートへ足を運ぶのがウィーンの日常だ。

ウィーン国立音楽大学では、学生による演奏会に市民が足を運ぶ様子も。聴く側が音楽に対する自分なりの意見・主張を持っているため、観客からは忌憚のない評価が飛んでくる。童話の世界でよく見る「舞踏会」も、ウィーンでは日常の1つ。毎年1~3月を中心に450もの舞踏会が開催されている。

●音楽の都が育んだ「ご当地作曲家」とは

そんな「音楽の都」で生まれ育ち、この地に骨を埋めた「ご当地作曲家」シューベルト。代表曲には『野ばら』や『魔王』、『アヴェ・マリア』など、現代においても有名な数多くの歌曲を生み出している。「歌曲王」とも言われるシューベルトの楽曲は、ウィーン人の優美で品がある特徴を色濃く反映した曲想や和声感が魅力だ。

でも、この作曲家の最大の特徴は、少し突飛な表現かもしれませんが、「安住の地を見出せず、永遠に一人さまよい歩く“さすらい人”が抱く一抹の寂しさ」や、一方で「孤高に生きる男の自由を謳歌する歓び」のようなものが感じられるところです。 (※注)

厭世的なダンディズムを感じさせる楽曲を生み出したシューベルトは、紛れもない「天才」だ。しかし彼は、同時代に生きたベートーヴェンという「超天才」や他の著名な作曲家に埋もれ、「隠れた天才」とみなされることが多いという。31歳という短い生涯を終えた彼は、20代の頃に描き上げた21曲のピアノ・ソナタの中で、「誰もが耳を傾けずにはいられないほど」大人びた憂いのある旋律を生み出した。

本書では他にも、シューベルトと同じ時代を生きたベートーヴェンをはじめモーツァルトリストなど、有名作曲家・音楽家の豆知識が数多く記載されている。名前は知っているがどんな人なのかは知らなかった作曲家たちのエピソードは、きっと読者に新しい発見をもたらしてくれることだろう。

●「たくおん」式・クラシックの楽しみ方とは

石井の提案する「たくおん」式・クラシックの楽しみ方は、まず「深く考えない」ことから始まる。目に見えない音楽は、非常に抽象的なものであると言えるだろう。しかし音楽には、知識の有無に関わらず「もう一度聴きたい」という感情を生み出す力がある。

「この曲、よかった」「もう一度聴きたい」と感じれば、音楽を楽しむ準備はできています。料理と一緒で、自分がおいしいと思ったらおいしい、この音楽は素晴らしいと思ったら素晴らしい。これでいいんです。 (※注)

最初は感覚でしっくりくる曲を見つけ、「どうしてこんなに素晴らしいのだろう」と気になったタイミングで、少しずつ専門的な知識へと触れていけばいい。ますますクラシックの魅力に取り憑かれた人には、「ぜひピアノを弾いてみてください」と石井はおすすめしている。

誰でも気楽に第一歩を踏み出せそうな「たくおん」式・クラシックの楽しみ方。「自分のペースで、好奇心と気持ちの赴くままにクラシック音楽へ触れてみて欲しい」という、石井の思いが伝わってくるように思う。

※注)石井琢磨「これが規格外の楽しみ方!たくおん式なるほどクラシック」より引用

●たくおん、メジャーデビュー作でベルリン交響楽団と共演

▶記事:「石井琢磨『シューマン・ザ・ベスト』Blu-spec CD2 2025年8月27日発売~ベルリン交響楽団とシューマンのピアノ協奏曲を共演」

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タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年10月18日 10:34