『激ロック』スペシャルコーナー【9月レコメンドアイテム】

LORNA SHORE / 『I Feel The Everblack Festering Within Me』
GENRE : DEATHCORE, BLACKENED DEATH METAL
エクストリーム・メタルの未来を占う
LORNA SHORE史上最も多彩な一枚
2025年2月に実現した初来日公演の成功も記憶に新しい、現代エクストリーム・メタルにおける最重要バンドの1つ、LORNA SHOREの約3年ぶりとなる最新作。シーン屈指のヴォーカリストであるWill Ramosによる人の所業とは思えぬパフォーマンス、容赦なきブルータリティや十八番とも言える壮大なオーケストレーション、卓越したソングライティング能力や磨き抜かれた演奏技術が生み出すデスコア芸術は健在ながら、アンセミックなナンバーや往年のヘヴィ・メタルへのオマージュを感じさせる曲等、新たな試みも見受けられ、多彩な要素を取り入れた現在のバンドのクリエイティヴィティは、確実にさらなる高みへと達している。歌詞も含めて、心して聴くべし。
井上 光一【ライター推薦】
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MGK / 『Lost Americana』
GENRE : ROCK
ロック・スターとして歩み出した
MGKが求めた、“古き良きアメリカ”
ヒップホップ畑で新しい風を吹かせ、ポップ・パンクの復刻に一役買ってきたMGKが、新たに追い求めたもの。本作は、誰しも心のどこかに持っている、郷愁と色褪せた青春の欠片が持つ抗いがたい魅力を、“アメリカン・ドリーム”という形でパーソナルに掘り下げたエモーショナルな作品だ。前作で完全に自分のものにしたポップ・パンクや、より肩の力の抜けたベッドルーム・ポップのテイストもあり、さらに彼のオリジンであるヒップホップも武器に、もっと自由で大衆性のある“古き良き”ロック・スタイルへ。時代の最先端を走りつつ、どこかノスタルジックなものに憧れを持ち、それを表現してきたMGKらしい自然体な音楽性で、古き良きアメリカを探す旅を描く。
山本 真由【ライター推薦】
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I PREVAIL / 『Violent Nature』
GENRE : POST-HARDCORE
アグレッシヴな側面を押し出した
新布陣でのニュー・アルバム!
初来日となった“NEX_FEST”で人気と実力を証明したI PREVAIL。ツインVoでクリーン・パートを担っていた、Brian Burkheiserの脱退を経た4thアルバムは、スクリーマーのEric Vanlerbergheが、クリーンも兼任する新たな布陣でのリリースとなった。タイトルが示す通りにバンドのアグレッシヴな側面を押し出した作風で、表題曲やTrack.9はバンド史上最狂クラスに強烈なヘヴィ・サウンドを展開。一方でTrack.3、4、8のようなメロディックなナンバーでは、Ericがストレートな歌声を響かせていて、攻撃性とエモーションが融合したTrack.6は新たな可能性を示す楽曲と言えるだろう。全体的にシリアスでダークなサウンドで、重大な局面を切り拓く力強さを感じさせる作品だ。
菅谷 透【ライター推薦】
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WE CAME AS ROMANS / 『All Is Beautiful… Because We're Doomed』
GENRE : POST-HARDCORE
WE CAME AS ROMANSらしいモダンなポストハードコアを主軸に
メロディ・パートのエモーショナルな部分も効いたニュー・アルバム
“WE CAME AS ROMANSのニュー・アルバム、やたら長いタイトルだな”と思っていたら、Track.1の「All Is Beautiful...」で始まり、Track.13「Because We're Doomed」で終わるアルバムだった! 物語性があって良い。しかも、最初の“All Is Beautiful(全ては美しい)”の時点で、楽曲のトーンがすでに“Doom(破滅)”的なのもネタバレ級の伏線で芸術点が高いと思う。全体的に、90年代後半のラウドロック、インダストリアル・メタルの雰囲気もあって、まさにアポカリプス(終末)といった感じ。そこにWE CAME AS ROMANSらしいモダンなポストハードコアの主軸があるので、メロディ・パートのエモーショナルな部分も効いている。
山本 真由【ライター推薦】
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RISE AGAINST / 『Ricochet』
GENRE : PUNK ROCK
結成25年を超えた今もバキバキに怒り、叫び、尖っている
RISE AGAINSTの10thスタジオ・フル・アルバム!
RISE AGAINST、10作目のスタジオ・フル・アルバム。結成25年を超えた今もRISE AGAINSTはバキバキに怒り、叫び、尖っている。音楽スタイルはパンクの枠を飛び出しオルタナティヴ・ロック、ハード・ロックの領域にもリーチしているが、その精神性は相変わらずパンク。しかもおっさんの説教クサい愚痴ではなく、しっかりと現代社会を見つめて、若者や子どもたちのために怒ってくれているのもカッコいい。元来の彼等のスタイルがそもそも、ハードコアをやってても、メロディや曲の端々に真面目で人情家っぽい優しさが滲み出ていたくらいだから、年季の入った今、ミドル・テンポの曲等激しいだけでない曲でそれが前面に出てくるのも、また必然といったところだろう。
山本 真由【ライター推薦】
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DEFTONES / 『Private Music』
GENRE : ALTERNATIVE METAL
オルタナティヴ・メタルのカリスマ DEFTONESの約5年ぶり10作目
オリジネーターだからこそ到達できる境地
現代のヘヴィ・ミュージックを語る上で外せない、オルタナティヴ・メタルのカリスマが発表した約5年ぶり10作目。6thアルバム『Diamond Eyes』等を手掛けた、Nick Raskulineczをプロデューサーに迎えた今回は、過去作の革新性を引き継ぎながらもファンの求める攻撃的で官能的なサウンドを見事に具現化していて、ドリーミーなTrack.7から陰湿なグルーヴが刺さるTrack.8の流れはその好例。近年では彼等の影響下にあるバンドも数多く登場しているが獰猛であり繊細なヴォーカル、徹底したヘヴィネス、ダイナミクスを増幅させるドラミング、聴き返すたびに鮮やかになるエレクトロニクスといった、オリジネーターだからこそ到達できる境地が本作に詰まっている。
菅谷 透【ライター推薦】
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HELLOWEEN / 『Giants & Monsters』
GENRE : GERMAN METAL
ヘヴィ・メタルの守護神による伝説は終わらない――
ジャーマン・メタルの生き字引 HELLOWEENのバラエティに富んだ17thアルバム
ヘヴィ・メタルの守護神による伝説は終わらない。奇跡の7人体制として2021年にリリースされたセルフタイトルの前作が大好評を博した、ジャーマン・メタルの生き字引 HELLOWEENの、4年ぶりとなる最新作にして通算17枚目となるニュー・アルバムだ。代名詞とも言えるアグレッシヴに疾走するメロディックなパワー・メタルはもちろん、爽快なポップ・チューンやエモーショナルなバラード、8分を超える壮大でドラマチックな長尺曲等バラエティに富んだ作風が印象的で、複数のソングライターを擁する強みを活かしつつ、得意とする領域のクリシェに陥らない姿は、ベテランの風格と洗練を感じさせながらも、今もって彼等が挑戦し続けていることの証左であろう。
井上 光一【ライター推薦】
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【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリー・マガジン、ポータル・サイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライヴ・イベント、24年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷/新宿/下北沢に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」、また渋谷にあるロック・ファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営等、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティヴ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2025年09月26日 12:32
