『激ロック』スペシャルコーナー【8月レコメンドアイテム】

LORNA SHORE / 『I Feel The Everblack Festering Within Me』
GENRE : DEATHCORE, BLACKENED DEATH METAL
エクストリーム・メタルの未来を占う
LORNA SHORE史上最も多彩な一枚
2025年2月に実現した初来日公演の成功も記憶に新しい、現代エクストリーム・メタルにおける最重要バンドの1つ、LORNA SHOREの約3年ぶりとなる最新作。シーン屈指のヴォーカリストであるWill Ramosによる人の所業とは思えぬパフォーマンス、容赦なきブルータリティや十八番とも言える壮大なオーケストレーション、卓越したソングライティング能力や磨き抜かれた演奏技術が生み出すデスコア芸術は健在ながら、アンセミックなナンバーや往年のヘヴィ・メタルへのオマージュを感じさせる曲等、新たな試みも見受けられ、多彩な要素を取り入れた現在のバンドのクリエイティヴィティは、確実にさらなる高みへと達している。歌詞も含めて、心して聴くべし。
井上 光一【ライター推薦】
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PENDULUM / 『Inertia』
GENRE : DRUM AND BASS, ELECTRONIC ROCK
アグレッシヴなダンス・ロックの革命児
PENDULUMが15年ぶりのフル・アルバムをリリース!
世界的なEDMブームをリードし、ムーヴメントの渦中に身を置きながらも、どこか冷静にシーンを俯瞰していた感のあるPENDULUM。活動休止期間も他ユニットでの活躍やDJセットでのライヴは続けていたが、前作から約15年の時を得て、ついにPENDULUMとしてニュー・アルバム『Inertia』を引っ提げ本格再始動を果たした。バキバキのアグレッシヴなビートを叩きつけるナンバーでリスナーを惹きつけたかと思えば、エモみのあるメロディックなナンバーも。期待を裏切らない基本を押さえつつ、最大限に冒険するスタイルで、とにかくテンションのコントロールが巧み。BULLET FOR MY VALENTINEやWARGASMとのバッチバチにキメたコラボ楽曲にも要注目だ。
山本 真由【ライター推薦】
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SLAUGHTER TO PREVAIL / 『Grizzly』
GENRE : DEATHCORE
ヘヴィネスを保ちながら多種多様なスタイルを提示する離れ業を成功させた
SLAUGHTER TO PREVAIL約4年ぶりの最新作!
熊と戦うヴォーカリスト、Alex Terribleの強烈なキャラクター性も含めて、今や世界的な知名度を誇るロシア発の5人組 SLAUGHTER TO PREVAILが、およそ4年ぶりに放つ最新作『Grizzly』。前作『Kostolom』(2021年リリース)で見せたバンドの可能性をさらに拡張し、独自のヘヴィネスを保ちながらも驚く程多種多様なスタイルを提示するという離れ業を、見事成功させている。そもそもBABYMETALとRonnie Radke(FALLING IN REVERSE/Vo)を同じ作品の中でゲスト参加させて破綻しないのは、恐らくSTPだけであろう。凶暴極まりないデスコアから祖国のルーツを感じさせるバラードまで、暴虐性とフック満載のキャッチーさが同居する柔軟性に感服!
井上 光一【ライター推薦】
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BORN OF OSIRIS / 『Through Shadows』
GENRE : DJENT, METALCORE
USプログレッシヴ・メタルコア・バンド BORN OF OSIRIS約4年ぶりのアルバム
キャッチーさとタフネスを両立させた、集大成とも言えるようなサウンドが展開
約4年ぶりとなる、USプログレッシヴ・メタルコア・バンド BORN OF OSIRISの最新アルバム。2024年にJoe Buras(Key/Vo)、リリース直前の2025年6月にLee McKinney(Gt)と、長年在籍したメンバーの脱退を経た(両名ともクレジットには記載あり)本作は、一言で言えば洗練された印象だ。デスコアに肉薄するアグレッションや強靭なチャグと、クリーンVoやギター・フレーズの叙情性、プログレッシヴ/オリエンタルな要素が、過不足のない絶妙なパワー・バランスで調和。キャッチーさとタフネスを両立させた、集大成とも言えるようなサウンドが展開されている。次作での変化は必至なだけに、今後のバンドへの期待と不安が入り混じるのも正直なところ。
菅谷 透【ライター推薦】
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PSYCHO-FRAME / 『Salvation Laughs In The Face Of A Grieving Mother』
GENRE : DEATHCORE
ツインVo擁するPSYCHO-FRAMEのデビュー・アルバム
スラム~ブルデスやビートダウン・ハードコアのリスナーとも共振する要注目の一枚
“ガンダム”ファンなら思わず反応してしまう名前の、ツインVo擁するバンドによるデビュー・アルバム。近年流行のシンフォニック/ブラッケンドなスタイルとは一線を画す、クラシカルなデスコアをさらに現代的且つ過激にアップデートしたサウンドが強烈だ。銃声のようなスネアのブラストビートとテクニカルな高速リフから、容赦なく落とすブレイクダウンとの落差が見事で、圧倒的な破壊力とシリアスなムードを徹頭徹尾キープした全11曲が収録されている。メンバーが所属するバンド、MOODRINGの楽曲の続編と言えるTrack.4が収録されているのもユニークだ。デスコアだけでなく、スラム~ブルデスやビートダウン・ハードコアのリスナーとも共振する、2025年要注目の一枚。
菅谷 透【ライター推薦】
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THROATCUT. / 『Resilience.』
GENRE : METALCORE
独メタルコアの若手 THROATCUT.によるデビュー・アルバム
新人離れした力量と鳴らすべき音を理解したバンドならではの説得力に裏打ちされた一枚
独メタルコアの注目すべき若手によるデビュー・アルバム。2019年の結成以来、アンダーグラウンド・シーンで地道に活動を続けて強固なファン・ベースを作り上げ、名門 Arising Empireと契約を果たし、満を持して発表となったのが本作である。ハードコア由来の生々しい暴虐性を兼ね備えた、古き良きグルーヴィなメタルコアを軸としながら、安易なクリーン・パートを一切排除したモッシュ必至の疾走パート、ブレイクダウンが矢継ぎ早に迫りくる全11曲はほぼ2分台という潔い仕上がり。新鮮な驚きは正直感じられないが、新人離れした確かな力量と、自らが鳴らすべき音を骨の髄まで理解しているバンドならではの、説得力に裏打ちされた力強い一枚だ。
井上 光一【ライター推薦】
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【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリー・マガジン、ポータル・サイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライヴ・イベント、24年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷/新宿/下北沢に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」、また渋谷にあるロック・ファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営等、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティヴ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2025年08月29日 11:46
