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BE:FIRSTにMAZZEL……人気アーティストを育てた“次世代リーダー”SKY-HIの挑戦を追う

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2005年に男女混合の音楽グループ「AAA」のメンバーとしてデビューし、その後ラッパーやプロデューサーとしても活動してきたSKY-HI。今回ご紹介する「日本の音楽は世界への壁を越えられるのか マネジメントのはなし。2」は、2020年9月にマネジメント/レーベル「BMSG」を立ち上げた社長・SKY-HIの挑戦に迫る1冊だ。

●音楽業界のビジネスモデルに対する違和感

SKY-HIは10代の頃から、アーティストとして芸能界という浮世離れした世界に生きてきた。しかし、一般社会に生きる人間としての感覚も持ち続けていた彼は、アーティストやアイドルなどが活躍する音楽業界の在り方やビジネスモデルに違和感を持っていたという。

そんなSKY-HIに注目したのが、「日経エンタ!」などのビジネス系メディアだ。オーディション「THE FIRST」からデビューしたダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」を、人気アーティストに育て上げたSKY-HI。その手腕に目をつけたビジネス系メディアは、SKY-HIを「新しいリーダー」「音楽業界の革命児」として取材した。

取材を受けるなかで、SKY-HIは音楽業界の「普通」が普通ではないこと、音楽業界の在り方に対して違和感を抱く自分に賛同する人間が多いことを知ったそうだ。

自分がやっていること、やろうとしていることは間違いじゃないという自信や確信にもつながったし、改めて業界の危機感も感じられました。 (※注)

●「新しいリーダー」SKY-HI率いるBMSGの音楽業界に対する提言

SKY-HIは2024年2月にBMSG代表取締役CEOとして、「BMSGから音楽業界を持続不可能にしないための提言」と題したメッセージを発信した。その内容は、現代のCDビジネスに一石を投じるための取り組みについてだ。

具体的には、4月24日にBE:FIRSTがリリースするシングルにおいて、「CDの製造段階からプラスチックの使用を減らすこと」と「これまでCDに付いていた様々な特典を減らし、直接その特典に値するグッズを販売する仕組みを試験的に導入すること」を発表。 (※注)

最近のCDにはランダム特典が付いたり、CDのタイプや購入店舗によって特典が変わったりすることが多い。この販売方法がファンをCDの複数買いに走らせ、CDの大量廃棄という環境問題に繋がっていた。また特典の多さはCD依存型のビジネスモデルにも繋がり、日本の音楽業界に悪影響を及ぼしているとSKY-HIは考えている。

日本の音楽業界は、CDの売り上げに依存するがゆえにストリーミングへの移行も遅れました。結果、海外から数字を見たら「それほど聴かれてないアーティストだな」と見られ、その存在が小さく見えてしまってきました。 (※注)

CD依存型のビジネスモデルを変えることは、アーティストの活躍の場を広げることにもなり、それによって先細りしている日本の音楽業界の救いにもなる。BMSGの取り組みには、多くの音楽関係者から肯定的な反響が寄せられた。

●BE:FIRST東京ドーム公演の演出・選曲に込められたSKY-HIの意図

SKY-HIは、自身が見出したBE:FIRSTの東京ドーム公演の演出や選曲にもこだわっていた。SKY-HIが重要視していたのは、新規のファンにBE:FIRSTのストーリーを伝える構成だ。一方で、ストーリーを強調してエモーショナルになり過ぎないよう注意したという。

「ドームが最高到達点」に見えることは絶対に避けなくてはいけませんでした。そのためにはエモーショナルとインパクトが絶対に必要で、そのバランスをずっと考え続けていたように思います。 (※注)

ドーム公演は、BE:FIRSTのメジャーデビュー曲『Gifted』で幕を開ける。『Gifted』が起点となったのは、「東京ドームに立つことは最初から全て決まっていたことだった」を表現するため。またSKY-HIは、オーディション「THE FIRST」で見せたBE:FIRSTメンバーの自然な姿を、ドーム公演でファンに見せようと考えていた。

その「リアルさ」こそがエンタテイメントに1番必要なことだと思っていたんですよね。 (※注)

本書で語られるSKY-HIならではの考え方やビジネス理論は、音楽に携わる人のみならず、一般人にも気づきをもたらしてくれるはず。新時代のリーダー像に触れたい人はぜひ、本書に目を通してみてはいかがだろうか。

※注)SKY-HI『日本の音楽は世界への壁を越えられるのか マネジメントのはなし。2』より引用

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タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年06月30日 14:56