作家・鈴木光司16年ぶりの新作が話題!「リング」を超える新たな恐怖とは……
2025年3月、16年ぶりとなる新作長編が発売された鈴木光司。累計800万部を超える「リング」を生み出した鈴木は、「日本ホラー界の帝王」とも称される。これまでに鈴木が生み出してきた“恐怖”を振り返ってみよう。
●「リング」で世間を震撼させた鈴木光司とは……
鈴木は1990年に「楽園」でデビュー。今でこそ「ホラー作家」の印象が強い鈴木だが、「楽園」は第2回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した壮大な冒険ファンタジーだ。
「鈴木光司」の名を日本中に轟かせた作品といえば、横溝正史ミステリ大賞の最終選考まで残った「リング」だろう。見た者を死に追いやる“呪いのビデオ”の謎をめぐり、主人公が真相を突き止めるべく奔走する姿を描いたホラー作品。1991年に刊行されたが、今なお「ジャパニーズ・ホラーの最高傑作」との声も上がる。
また、「リング」は1998年に中田秀夫監督によって映画化され、「Jホラーブーム」を巻き起こした。『リング』といえば、呪いの象徴である貞子が井戸から這い出てくるシーンが印象的だが、あの描写は映画オリジナルだという。また原作では男性が主人公だったが、映画版では松嶋菜々子演じる女性記者へと性別が変更されるなど、映画化での変更点も見受けられる。
さらに、「リング」に続き鈴木が書いた「らせん」は、第17回吉川英治文学新人賞を受賞。『リング』と同時に映画化されたことでも話題となった。「リング」「らせん」の物語は、その後「ループ」「バースデイ」「エス」「タイド」へと継承され、「リングシリーズ」として知られている。
今回、「『リング』を超える新たな恐怖」と銘打たれて登場した新作「ユビキタス」のメインテーマについて、鈴木は「植物」だと語っている。首都圏で発生した原因不明の連続突然死事件。新興宗教団体内で起きた出来事との共通点に気づいた探偵の前沢恵子と、異端の物理学者・露木眞也が事件を追うことで話が展開されていく。訪れる「絶体絶命の危機」をいかに切り抜けていくのか、緊張感あふれるストーリーはまさに「鈴木ワールド」と言えるだろう。
本作は全10章におよぶ長編作品だが、鈴木は既にシリーズ続編の構想も持っているという。ファン待望の新作「ユビキタス」で、「リング」とは一味違った“恐怖”を味わい、また新たな「鈴木ワールド」を堪能してみてはいかがだろうか。
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タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年06月13日 11:43