今度は「Sunny」が長編ストップモーションアニメ化!映像化多数の漫画家・松本大洋とは
松本大洋の漫画「Sunny」が、長編アニメーションとして映画化される。日本のストップモーションスタジオ・ドワーフと、『君たちはどう生きるか』の北米配給で知られるアメリカのアニメーション配給会社・GKIDSが共同で開発するとのこと。他にもいくつも映画化された作品を持つ松本大洋とはどんな漫画家なのだろうか。その魅力を少し覗いてみよう。
●深く、鋭く、独特な世界観
漫画「Sunny」は2010年に「月刊IKKI」で連載が始まり、同誌の休刊後は「月刊!スピリッツ」に移籍して掲載された。様々な事情で親と離れ、児童養護施設・星の子学園で共同生活を送る子どもたちの、揺れ動く心情、関係性や成長を丁寧に描いている。
その深いドラマ性や芸術性は各方面から高く評価され、第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第61回小学館漫画賞をはじめ、アメリカの漫画界におけるアカデミー賞とも称されるアイズナー賞など数々のアワードにノミネートされた。
今回の映画化では、松本の「鉄コン筋クリート」の映画化も手掛けたマイケル・アリアスが監督・脚本を務め、ストップモーションによる長編アニメーションとして制作することに。第78回カンヌ国際映画祭のカンヌ・アニメーション・デイ2025でも発表されたところだ。
実は、松本自身も小学校時代に児童養護施設で暮らした経験を持つ。「Sunny」はその原体験をもとに、構想から20年以上もの歳月をかけてようやく描くことができた自伝的要素の強い作品でもある。
松本と言えば、独特な画風や世界観、そして印象的なセリフ回しが特徴だ。代表作の一つは、2002年に窪塚洋介主演で映画化された「ピンポン」。「この星の一等賞になりたいの、俺はっ!!」「あんたはオイラに飛び方を教えてくれた。」などの名セリフは、多くの漫画ファンに愛されてきた。
また短編集「青い春」も、2001年に松田龍平主演で実写化されている。若かりし頃の松田龍平、高岡蒼佑、永山瑛太らが出演し、男子校に通う不良高校生たちの閉塞感や、それぞれの葛藤を鋭く描いた作品だ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTによる心揺さぶる劇中歌もかなり印象的で、映画・漫画ファンはもちろん、音楽ファンの間でもカルト的な人気を誇る名作となっている。
2014年には谷川俊太郎と絵本「かないくん」も共同制作するなど、表現の幅は非常に広い。映画公開を前にまずは『Sunny』の原作をチェックして、その独特で深遠な世界観にハマってみてはいかがだろうか。
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タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年05月30日 15:59