NHK連続テレビ小説『あんぱん』のモデルでも話題!今振り返るやなせたかしの生涯
2025年3月から放送が開始されているNHK連続テレビ小説「あんぱん」。豪華なキャスト陣でも注目されている同作は、「アンパンマン」の生みの親であるやなせたかしと妻の小松暢をモデルにした作品だ。
●多くの人に愛された温厚で明るい人柄
やなせといえば、常に前向きなキャラクターとしても知られている。映画『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』の舞台あいさつに登壇した際には、「死ぬときは死ぬんだよ!笑いながら死ぬんだよ。そうすれば映画の宣伝になる。死ぬまで一生懸命やるんだよ」とブラックジョークを飛ばしたことも。また「人が一番うれしいのは、人をよろこばせること」とも語っており、「人生はよろこばせごっこ」という名言は今も各所で語り継がれている。
今やその名を知らない人はいないほど、アンパンマンと共に有名になったやなせだが、実は元々絵本作家だったわけではない。終戦後に三越百貨店宣伝部に入社し、包装紙のレタリングなどを手掛け、その後漫画家として独立。ニッポンビール広告漫画「ビールの王さま」などの連載を開始するも、ストーリー漫画の流行により漫画の仕事は減少した。
1960年代にはテレビ・ラジオ番組の構成や舞台の美術監督など活動の場を広げ、マルチタレントと評されるように。やなせが作詞を手掛けたことで有名な「手のひらを太陽に」も、この時期に発表されたものだ。
そしてやなせが50歳を迎えた1969年に、雑誌「PHP」にてアンパンマンを発表。当初は大人向けに発表したため読者に受けなかった。しかし子どもたちの間で思わぬ大ヒットとなり、1988年にはテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」がスタート。1,768体にものぼる登場キャラクターの多さは、ギネス世界記録に認定されている。
その後も編集者として雑誌「詩とメルヘン」を創刊するなど、精力的に創作活動を続けたやなせ。彼の仕事の全貌と波瀾万丈な生涯を紹介する「やなせたかし メルヘンの魔術師 90年の軌跡」。また、ノンフィクション作家・梯久美子によるやなせたかしの評伝「やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく」ややなせ夫妻の日々の暮らしを描いたエッセイ集「やなせたかし先生のしっぽ やなせ夫妻のとっておき話」などあわせて読むとよりやなせたかしへの造詣が深まるだろう。
大人から子どもまで、幅広い層に愛されたやなせの人生を、今一度振り返ってみてはいかがだろうか。
やなせたかし「あんぱんまん」書籍
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掲載: 2025年04月25日 12:23