「消滅世界」の映画化が話題!「コンビニ人間」「世界99」数々の作品を生み出す村田沙耶香の頭の中とは……

村田沙耶香の小説「消滅世界」が2025年秋に映画化されることが決定した。数々の作品を生み出してきた村田だが、初の映像化作品となる。注目される本作について、また、作家・村田沙耶香について見てみよう。
●「消滅世界」はどのように映像化されるのか!?
「消滅世界」の舞台は、人工授精で子どもを産むことが定着した世界。夫婦間の性行為もタブーとされ、恋愛や性愛の対象は「家庭の外」の恋人か、二次元キャラが常識という世界で生きる若者たちが描かれる。映画化では、映像ディレクター・川村誠が監督となることも発表された。川村はこれまでレディオヘッドやオアシス、マッシブアタックなど世界的アーティストの映像などを手掛けてきたが、長編映画監督は初。村田作品の初映像化とともに期待が高まっている。
村田沙耶香は、2003年に群像新人文学賞、2009年に「ギンイロノウタ」で野間文芸新人賞、さらに2013年には「しろいろの街の、その骨の体温の」で三島由紀夫賞を受賞するなど着々と評価を高めてきた。世に大きく名を知らしめたのは、2016年の「コンビニ人間」だろう。国内では第155回芥川賞を受賞し、イギリスBBCが選ぶ2020年最高書籍や、アメリカのザ・ニューヨーカー誌のベストブックスに選出されるなど世界各国でも称賛された。
村田は芥川賞受賞時、実際にコンビニでアルバイトをしていたことでも話題となった。受賞後もバイトを続け、2017年の産経新聞のインタビューでは「『フェアでパスタがいっぱい入ってきたから、このサラダはこっちにやって、パスタの段を増やそう』とか、『これはいい場所に置けば女性にウケるパンだ』と独断でいい場所に置いた」など、ベテラン店員としてのこだわりを語ったことも。
また、村田の最新作「世界99」が2025年3月5日に発売されている。繁殖、暴力、流行、信仰など様々なテーマが盛り込まれ、3年以上にわたる連載が書籍化された超大作だ。読者をはっとさせる壮大な村田ワールドが築かれている。
そんな村田の頭の中をのぞけるのが、エッセイ「となりの脳世界」。「自分ではない誰かの脳を借りて、そこから見える世界をのぞいてみたい」と思っていたという村田が、デビューから39歳までに書いた文章が集められている。タイトルも「私の脳の中はこんな世界です」という思いで付けたという。小さな頃の思い出から、影響を受けた本や音楽、さらには気になるコンビニバイトのことなどが、村田らしい視点や言葉選びで記された本書。様々な作品とともに、それを生み出す頭の中も少しのぞいてみてはいかがだろうか。
村田沙耶香 著書
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掲載: 2025年04月11日 18:38

