ポルノグラフィティ『暁』タワレコスタッフレビュー
ファンの皆様が待ち焦がれた、5年ぶりのオリジナルアルバム。
ツアーも決定しファンの皆様も気持ちが盛り上がってきているはず。
タワレコロマンスポルノもここでまた盛り上げるべく、レビューを書いていこうと思います。
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暁
表題曲。アルバムのタイトルが曲名になっていることはデビューアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』以来。夜明けとか、明け方を意味する暁という言葉からは想像できない、ヘヴィなギター。ダークなサウンドでかつスピード感のある曲は彼らの18番。サビのファルセットがポルノグラフィティ史上一位二位を争う美しさ。
カメレオン・レンズ
46thシングル。前曲「暁」から急に変わる落ち着いたテンポ感の差が癖になる。アダルトでおしゃれな雰囲気な曲調と歌詞。ここでドキドキしていた気持ちが落ち着く。
テーマソング
51thシングル。『17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”』では本編最後に演奏されていたこともあり、アルバム序盤の方で聞くと新鮮に感じる。続では手拍子だけしかできず、この曲を一緒に歌える日が来るように楽しみにしているが、今ツアーのファイナルあたりで歌えたら。
悪霊少女
Twitterのトレンドにも入ってしまうほどの驚くべきタイトル。5年ぶりだからといって何やってもいいわけじゃないんだぞ!と思い聞いてみるとなるほど、ストーリー性のある名曲だった。少女が恋をしたことを「悪霊に取りつかれてしまった」という言い方で表現しているよう。彼らの恋愛ソングはどうも幸せな曲より、悲しく表現されることが多い。かなう恋よりかなわない恋のほうが多いからだろうか。
ちなみに編曲はあの江口亮氏。ポルノグラフィティでは「THE DAY」や「2012Spark」のカップリング「9.9㎡」の編曲をされている、ポルノグラフィティには欠かせない方。江口氏の編曲、大好きです。Zombies are standing out
48thシングル。既にライブでは定番になりつつある人気曲。「悪霊少女」からゾンビへと続いていく、不穏な流れ。アルバム自体の空気が重たくなったが、どうしても頭を振ってしまう。テンション上がってきました。
ナンバー
『17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”』の最終2日間で演奏された曲。
歌詞が結構変わっているのでそちらにも注目してほしい。
ストリングスから始まるこの曲はキツネやウサギ、熊といった動物の名前が出てきて、とても牧歌的な雰囲気を感じるが、「You were mine」というワードが出てきた途端にすべてが悲しく感じられてしまう。灰色がかったイメージになる。「失恋」というワードでは簡単に片づけられそうもない。
また、キツネ、ウサギはカタカナなのに、猫、蜜蜂、蝶、熊、蟻、鳥は漢字表記なのだろうか。また「シルシ」もカタカナになっている表記も気になる、謎が多い曲。バトロワ・ゲームズ
「悪霊少女」同様、タイトルから曲調がイメージできない。どこかで聞いたことがあるようなゲームの起動音から始まる。流行りのサバイバルゲームを意識した歌詞と
前アルバム『BUTTERFLY EFFECT』の「MICROWAVE」に似たデジタル感満載の曲。ポルノグラフィティはこういう流行りを歌詞やタイトル、曲調に入れるのが得意。それでもポルノらしさがきちんと残っているのは歌唱力と歌詞の力だろう。メビウス
こちらも『17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”』の最終2日間で演奏された曲。
リリース前には既に歌詞がわかっていたのだが、ほとんどひらがなで書かれている。歌を聴いているだけではそこには気づくことが出来ないので改めて歌詞を見てみると、怖い。病んでるというか、今風な言い方なら「メンヘラ」となるのだろうか。例えばこの歌詞が普通に漢字・カタカナ含めすべてきちんと表記していたらそこまでの狂気は感じられなかっただろうし、全てカタカタにしてたらオオカミみたいだし。
壊れてしまった愛をメビウスの輪のような永遠のものとしてしまうことが悲しい。You are my Queen
メビウスとは打って変わってアコースティックでかわいらしい感じ。21thシングル『Winding Road』のカップリング「ウェンディの薄い文字」のような雰囲気もする。
6.7.8と中々ぶっ飛んだ曲が来たのも相まって心が落ち着きます。フラワー
49thシングル。花が持つ美しさと力強さを感じる曲。サビ後半部分の英訳「強くなりたい、たとえ一人ぼっちでも」という所が繰り返されるのに、2番サビ最後に「一人じゃない」と言うところが良い。
因みに新藤さんのツイッターにこの手書きの歌詞の写真がアップされているのでぜひ見てほしい。ブレス
47thシングル。シングルが続く。この曲も十分ポップソングの顔をしているのに、ポジティブな言葉で構成されたヒットチャートに、勝手に背中を押されることに苦言を呈することから始まるところが何とも新藤さんらしい皮肉。応援歌はこういう曲があってもいい。
PVのサムネの岡野さんが可愛すぎです。それだけ見てくれたら十分。クラウド
個人的にこのアルバムで一番良い歌詞だと思う。
あの頃の思い出の写真はクラウドという近いような遠いようなところに残ったままだけど、語り合った時間とか幸福感は自分の中に残ってて。でも駅前のカフェは閉店して、どんどん思い出が消えていく気がして。何とも切ない曲なのに曲は明るい感じがして。これも新藤さん節。ネガティブなことこそ明るく伝えるべきだよな、と。
ジルダ
ネオソウル的な雰囲気の曲。アゲハ蝶のカップリング「別れ話をしよう」も似たような雰囲気。
歌詞に出てくるジルダは流れからするにオペラ女優、マグリオットは男優、オーチャードはホールの名か。
オペラの後はクラブでジャズに酔いしれるんだと思ってたり、目当ての女性以外を「脇役」と言ってしまったりするところがいかにもポルノグラフィティの曲に出る男性像。新藤氏の書く歌詞の男性は壮大な妄想しがちだけど中々実行に移せないところが憎めない。証言
このアルバムの真打ち登場。ポルノグラフィティのアルバムは、ラスト近くに入っている曲がシングルを超えるようなレベルが多い。
新藤氏の歌詞は割と直接的な熱いフレーズを使うのを避けているような印象がある。もちろん「愛してください」とか、「寂しい」など使う場面はあるが。
それは作詞家と言えばいいか、むしろ詩人というべきか、その矜持をもっているから、「好き」という言葉一つをとっても直接的に「好き」と言わず、「望むならこの身など差し出していい」とか、「自分の本棚にケルアックの本が増えた」などの言い方をしている。
ただ、「証言」では「愛」というワードがサビで使われている。それもこの歌詞の主人公が完璧な愛をしていたことについて。ここで直接的に表現をしたことについて、よほど書きたかった理由があるのだろう。そこは各々想像していただければ。VS
ここまで長かった。2800字。原稿用紙7枚びっちり。
50thシングル。アルバムラストの曲
ポルノグラフィティにとっても、ファンにとっても大切な1曲。2019年の20周年記念の東京ドーム2DAYSでも両日ラストに演奏されていた。少年時代に戦っていた自分と今の自分を対比させる曲。どうしてもこの曲の最後に「あのロッカーまだ戦ってっかな」と歌いたくなってしまう。
全曲新藤氏が歌詞を書いているというアルバムは今までなかった。デビューアルバムでさえ岡野氏が1曲歌詞を書いていて、前作では半分の曲は岡野氏の作詞だった。
また今作は恋愛がテーマと思える歌詞が多い。得意分野だ。
そして岡野氏の歌声はその魅力的な力強さだけでなく、ファルセットも美しく響いている。
もう嘘偽りなく、贔屓目なしに、今のポルノグラフィティが全盛期。
ポルノグラフィティをベスト以降聞いていない方にも、初めて聞く方にも胸を張ってオススメできる1枚。
タワレコラバッパー みき
掲載: 2022年09月08日 19:30