ダニ&デボラ・グルジエール・クアルテート1年振りのアルバム

ボサノヴァ以降、ブラジル音楽のイメージといえば「MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ」が主流となっていたはずだ。しかし、近年、ブラジル音楽の新たな潮流として注目されているのが「Novos Compositoresノーヴォス・コンポジトーレス」と呼ばれているムーヴメント。これまでのMPBの流れを踏襲しつつも、大胆で斬新なアレンジを施した次世代のブラジル音楽だ。そのシーンの牽引者としてブラジル音楽愛好家から愛されてきたダニ・グルジエールによるカルテット・バンド=ダニ&デボラ・グルジエール・クアルテートが1年ぶりのアルバムを発表。アーバンかつアヴァンギャルドなジャズ・アレンジに、全曲スタジオで一発録音をするという緊張感も伴った作風が絶賛され、大ヒットとなった前作『UM』(2013)。アルバムからはM・ジャクソンのカヴァー“Rock With You”が日本ラジオ・チャートを賑わせ、2013年9月には東京JAZZへの出演のほか、東京と鎌倉でワンマン・ライブを成功させる。今回カルテットが挑むテーマは〈光〉。行く先を照らし出す〈光〉や、将来への希望を表す〈光〉など、カルテットの各メンバーから放たれるそれぞれの〈光〉が昇華され完成したアルバムは、前作に勝るとも劣らない力強い作品に。収録された全11曲から、11色の輝きを放つ〈光〉を感じてほしい。
【Dani & Debora Gurgel Quarteto】
ヴォーカルのダニ・グルジエールとピアノのデボラ・グルジエールの母娘(おやこ)が率いる、ブラジル音楽カルテット。サンバのエッセンスからJAZZまでをこなし、ブラジル音楽の新たな潮流を牽引するバンドである。幼少期から様々な楽器に触れ、ソロ・シンガーソングライターとして活動していたダニと、サンパウロでピアノの指導を続けてきたデボラ。互いに多くの経験を経て、2013年、カルテットとして待望のデビュー・アルバム『UM』を発表。ポルトガル語で「ONE」を表すこのアルバムは、気心知れた4名のメンバーが全てスタジオで一発録りするという手法で制作された。ちなみに、アルバム・ジャケットは写真家としても活動するダニ本人によるもの。同じく2013年には初めての来日を果たし、東京国際フォーラムで行われた〈東京JAZZ〉のほか、渋谷のSARAVAH東京、そして鎌倉のカフェ・ヴィヴモン・ディモンシュにて公演を行い、いずれも絶賛を受けた。また『UM』に収録されていたM・ジャクソンのカヴァー“Rock With You”は、J-WAVE「TOKIO HOT 100」でもランク・イン。2014年に入ってからもゴンチチ両氏によるNHK-FM「世界の快適音楽セレクション」にてOAされ、広く愛される楽曲として親しまれている。
掲載: 2014年07月25日 18:16