エドゥアルト・ファン・ベイヌムの芸術 Vol.1 ~1949~53年録音集(9-CD)
掲載: 2013年12月13日 14:10

スクリベンダムより、オランダの名指揮者エドゥアルト・ファン・ベイヌム(1901~59)のアンソロジーが2組同時発売されます。このVol.1は英デッカ専属時代の1949~53年録音をセレクトしています。
ベイヌムは1901年9月3日、アルンヘムの音楽一家に生まれ、幼少よりヴァイオリンとピアノを学び、アムステルダム音楽院入学後はピアノ、ヴィオラ、作曲を学びました。ピアニストとしてスタートした後、1927年に指揮者へ転向。1929年のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現ロイヤル・コンセルトハボウ管弦楽団)へのデビューが大成功を収め、1931年に同団の次席指揮者となった後、1938年からは巨匠メンゲルベルクとともに首席指揮者に就任。1945年、メンゲルベルクが戦中の対独協力のため追放されると、ベイヌムはコンセルトヘボウ管弦楽団の音楽監督兼終身指揮者に就任しました。また1949~51年にはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、1956年からはロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を兼務しています。
19世紀生まれのメンゲルベルクがポルタメントやルバートを駆使したロマンティックな芸風をもっていたのに対し、両大戦間に教育を受け、青春時代を過ごしたベイヌムは新古典主義的な音楽思潮の風を受けました。第2次大戦後、新鮮なスタイルを身に着けたベイヌムの世界楽壇への登場と、華々しい活躍は時代の要請だったのかも知れません。
ところが指揮者として円熟期を迎えた1959年4月13日、アムステルダムでブラームス交響曲第1番のリハーサル中に心臓発作を起こし急逝。57歳の若さでした。突然、主(あるじ)を失ったコンセルトヘボウ管は当時30歳のハイティンクを首席指揮者に抜擢し、その後見役として当時58歳のヴェテラン、ヨッフムも同時に首席指揮者に据えたのは有名な話です。
Vol.1にまとめられた英デッカへの録音時期は丁度「LPレコード」という新しいメディアの登場時期と重なっています。オランダのローカルな存在だったベイヌムは、50歳前後の重厚でいて颯爽たる進行をもつ演奏を英デッカの優秀録音(モノーラル)に収め、「LPレコード」によって世界にその名を知らしめたのでした。
当セットのいくつかの録音も、録音後すぐに日本で発売され「レコード芸術」誌で推薦盤となるなど、新進指揮者ベイヌムの評価を高めました。参考までに当時の批評を引用いたします。
【音楽之友社、レコード芸術第31巻第6号付録「レコード芸術」コメント付き推薦盤全記録(上巻)より】
モーツァルト:交響曲第35番《ハフナー》 レコード芸術 1954年11月号推薦盤
「ベイヌムの演奏は現代的な感覚がすみずみにまで行きわたっていて、実に知的ですっきりしている。甘くもなく、そうかおいって率直でもない。ほどよいテンポとニュアンスをもって、とにかく全体が若々しいリズム感とダイナミックな進行で一貫されている新鮮なモーツァルトである。」
ブラームス:交響曲第1番 レコード芸術 1954年1月号推薦盤
「劇的緊張感は充分生かされているし、対位法的構成がはっきりしていて力強さが自らに出ている。ベイヌムの演奏でいちばんよいのはテンポが安定していることだ。それだからしっくりまとまっている。それから独奏ヴァイオリンがしっかりしている。」
マーラー:交響曲第4番 レコード芸術 1956年6月号推薦盤
「マーラーの音楽に共通する不思議な人間的な魅力が、それはロマンティシズムというような言葉では簡単に割り切れない人間の感情内容がここにも美しい姿で自然に現れている。ベイヌムはそれを若々しく表現して全く弛緩がない。それに管弦楽が立派だ。まず今日の考えによるマーラーの演奏では最高のものといえよう。」
【収録曲目】
CD01
①ベートーヴェン:プロメテウスの創造物 Op.43
(05'19/02'44/02'01/09'34/04'04/05'02/04'15/05'09)
②モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 K385《ハフナー》
(05'15/04'51/03'12/03'42)
ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
録音:①25 February-19 March 1952 ②1 May 1952, Kingsway Hall, London
CD02
①ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68(11'53/08'41/04'34/16'09)
②ブラームス:大学祝典序曲 Op. 80(10'19)悲劇的序曲 Op. 81(13'20)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:①17 September 1951 ②November 1952, Amsterdam
CD03
①ベルリオーズ:幻想交響曲 Op. 14(12'24/06'05/14'48/04'27/09'06)
②ベルリオーズ:ファウストの劫罰 Op. 24~ハンガリー行進曲、妖精の踊り、鬼火のメヌエット(04'23/02'18/05'17)、ローマの謝肉祭 序曲 Op. 9 (07'59)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音: ①10 September 1951 - ②September 1951, Amsterdam
CD04
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(18'40/19'05/09'10/11'45)
ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
録音:May 1953, Amsterdam
CD05
①マーラー:交響曲第4番 ト長調(14'50/08'27/20'05/08'49)
マーガレット・リッチー (ソプラノ)
②フランク:交響詩《プシシェ》(07'55/02'25/03'40/06'30)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:① April/May 1952 ②September 1951, Amsterdam
CD06
①ハイドン:交響曲第94番ト長調《驚愕》(07'20/05'49/04'58/03'59)
②ハイドン:交響曲第96番ニ長調《奇跡》(07'06/06'44/05'17/03'18)
③ハイドン:交響曲第100番ト長調《軍隊》(06'21/04'31/03'58/04'00)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団①②、ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団③
録音:①24 September 1951②December 1952, Amsterdam③ 29 November 1946, London
CD07
シベリウス:交響詩《エン・サガ》(19'10)、同《タピオラ》Op. 112(17'36)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:December 1952, Amsterdam
CD08
①ブリテン:春の交響曲 Op. 44
(2'02/1'58/1'45/2'02/2'02/2'44/2'35/6'13/2'27/2'22/1'29/8'04)
②ブリテン:歌劇《ピーター・グライムズ》~4つの海の間奏曲 Op. 33a
(3'12/3'29/3'40/3'51)
③ブリテン:青少年のための管弦楽入門 Op. 34(17'01)
ヨー・ヴィンセント(ソプラノ)キャスリーン・フェリアー (アルト)ピーター・ピアーズ (テノール)
ロッテルダム少年合唱団、オランダ放送合唱団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:① 9 July 1949 ②14 September 1953 ③16 September 1953, Amsterdam
CD09
①シューベルト:《ロザムンデ》序曲 ハ長調 D644(10'06)
②シューベルト:交響曲第4番ハ短調 D417《悲劇的》(8'03/8'55/3'57/7'34)
③メンデルスゾーン:《真夏の夜の夢》序曲、夜想曲、スケルツォ(11'37/6'07/4'23)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音: ①③May 1952 ②December 1952, Amsterdam