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注目レーベル~「Ediciones Singulares(エディシオーネス・シングラーレス)」

エルヴェ・ニケ

すでに“Glossa”レーベルなどでも知られている、ヴェネツィアが本拠で、意欲あふれるロマン派フランス音楽の振興団体「パラッツェット・ブルー・ザーネ[Palazzetto Bru Zane]」が手がけている注目レーベル~「Ediciones Singulares(エディシオーネス・シングラーレス)をご紹介いたします。

「1780~1920年頃の、広義のフランス・ロマン派音楽」に光をあて、高い評価に値するにもかかわらず知られていない天才作曲家たちの作品、あるいはすでに有名な大作曲家たちの見過ごされてきた傑作、そうしたものをていねいに掘り起こすべく、楽譜出版や演奏会企画を続けているこの団体が、“Glossa”レーベルのディレクターでもあるカルロス・セステル氏との連携で、2012年に独自レーベルとして発足させたのが、こちらの“Ediciones Singulares”。

まずは「フランス語オペラ」と「ローマ大賞受賞作品」に焦点をしぼり、それぞれ欧州フランス語圏随一の演奏陣とともに録音したハイ・クオリティなディスクが登場。
※装丁は“DVDサイズ”&約200ページもの仏語・英語による論文や解説付き。そして、歌詞(英訳付)の掲載、というもの。

『オローヌ: ローマ大賞カンタータ』

ラヴェルと同じ年に生まれ、ラヴェルが落選しつづけた「ローマ大賞」で好成績に輝いた、時代に愛された天才。ベルリオーズを彷彿させる作風を、ニケが痛快に料理!
「フランス近代」を語るうえで外せない、若手作曲家の登竜門である作曲コンクール、ローマ大賞。ベルリオーズ、フローラン・シュミット、デュティユー...とこの賞で世に出た大作曲家も多い一方、意外と見過ごされがちな知られざる大家が「最も意欲的だった若手時代に書いた傑作」も、数多くこの作曲コンクールで賞をとっているのです。ここにまとめて紹介されるのは、指揮者としての活躍でも辛うじて名を残しているマックス・ドローヌという思いがけぬ天才!
マスネ門下で研鑽を積み、世紀末的退廃に流されてしまわない充実しきった音作りの意気揚々とした迫力、艶やかな和声の流れなどには、どこかベルリオーズ中後期の作風にも相通じるところが感じられるのでは。
同い年のラヴェルよりも、むしろ歳の近いところではベルギーのジョンゲン、ロシアのラフマニノフあたりに近い感性かもしれません。そうした美質が引き立つのも、やはり演奏の良さあればこそ!
なにしろ指揮は古楽界を震撼させてきた異才エルヴェ・ニケ。昨今もサン=サーンスの同種作品で成功をおさめている彼が、ベルギー随一の気鋭団体ブラッセルズ・フィルハーモニックの精緻さと機能性とをフルに引き出し、実力派歌手たちと織り上げる音楽世界は、1900年前後のフランス音楽に目がない玄人リスナーにもお勧めしたい内容!作曲家自身の文章、ローマ大賞165年の歴史を省察する長大な論考など、「本文」の充実度も感激(仏語・英語のみ)。じっくり付き合いたい“1冊”です。

【曲目】
マックス・オローヌ(1875~1959):
1. カンタータ「フレデゴンド」 (1897)
2. 木蔭にて ~合唱と管弦楽のための習作 (1897)
3. 夏~合唱と管弦楽のための習作 (1894)
4. カンタータ「メリュジーヌ」 (1896)
5. 嵐のあいだ ~合唱と管弦楽のための習作 (1896)
6. カンタータ「クラリス・ハーロウ」 (1895)
7. カンタータ「呪われた町々」 (1899)
8. 讃歌 (1895)
9. スポーザリツィオ (1895/管弦楽版1939)

【演奏】
エルヴェ・ニケ(指揮) ブラッセルズ・フィルハーモニック
フランデレン放送合唱団
シャンタル・サントン、ヴィルジニ・ポション、ガブリエル・フィリポネ (S)
ジェニファー・ボルギ、マリー・カリニン、ノエル・スヘーペンス (Ms)
フレデリク・アントゥーン、ジュリアン・ドラン、マティアス・ヴィダル (T)
アンドルー・フォスター=ウィリアムズ (Br)
ジャン・テイチェン、ヨーリス・デルデル (Bs)

※装丁は、この様な形になっています。

 

ローマ大賞カンタータ

 

【その他のラインナップ】
・クロイツェル「アベルの死」(1810/1825)/ギィ・ヴァン・ワース指揮 Ens.レザグレマン(古楽器使用)他 [ES1008]

・J.C.バッハ「ゴールのアマディス」(1778)/ディディエ・タラパン指揮 Ens.ムジカ・フロレア(古楽器使用)他 [ES1007]

・マスネ「テレーズ」(1907)/アラン・アルティノグリュ指揮 モンペリエ国立歌劇場o.他 [ES1011]

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2013年04月11日 19:36

更新: 2013年04月11日 20:22