ラスト・ソウルマン!ボビー・ウーマックの最新作
共同プロデュースでデーモン・アルバーンも参加

ウーマック兄弟で結成したザ・ヴァレンティノズでの活動を経て、現在までにソロで26枚のスタジオ・アルバムとライヴ盤2枚、コンピレーション9枚をリリースしてきた、ソウル界のゴッドファーザーa.k.a.ラスト・ソウルマン=ボビー・ウーマック。『レザレクション』(94年)以来18年振りとなる、27枚目のスタジオ・アルバムをリリース。
今作は、ゴリラズのアルバムで共演したデーモン・アルバーン(ゴリラズ、ブラー)と、リチャード・ラッセル(XLレコーディングスの最高責任者)による共同プロデュース。ゲストに話題の女性シンガー、ラナ・デル・レイが参加!2012年12月、XLレコーディングスの最高責任者リチャード・ラッセルがデーモン・アルバーンと共にボビーの新作を共同製作していると発表し、世界中に衝撃を与えた。「彼の声はとても素晴らしく驚嘆しました。(もしあなたが)フランク・オーシャン(オッド・フューチャー)やウィークエンドを愛聴しているなら、絶対にボビーを好きになるはずです。なぜなら彼らはボビーに影響されているのだから」。先行シングル「プリーズ・フォーギヴ・マイ・ハート」では、貫録のあるボビーののびやかな歌声を披露。往年のボビー・ファンからボビーを初めて聴く若いリスナーまでを惹きつけるモダンで斬新なサウンドがキラリと光る珠玉の1曲となっている。
ボビー・ウーマック、新作を語る
■新作についてお訊きしたいのですが、アルバムを作り終えた率直な感想を。
ボビー:今回出るアルバムは、わたしのこれまでの音楽人生の作品のなかでもベストな出来だと思うよ。自分でもとても気に入ってる。
■デーモンとリチャードとの出会いはどんなものだったんですか?
ボビー:デーモンとはゴリラズとのコラボレーションではじめて顔を合わせたんだ。そのときは、もちろんデーモンから仕事をしようと話がきたんだ。でも、そのインヴィテーションが届いてたんだけど、それがそんなコラボレーションのためのインヴィテーションだって気づかなくて捨てそうになってしまって……それを娘が気がついて「パパ!なにやってるの!招待じゃない!」って教えてくれたんだよ。
■ゴリラズの音は娘さんが聴かせたとか。
ボビー:そうだ。ゴリラズを娘に聴かせてもらったんだけど、正直いままでやってきた音楽とは違ったからよくわからなかったんだ。彼女は大ファンだったんだけど。
■リチャードとはどんな具合に?
ボビー:ラッセルとはミュージシャンとして知り合ったという感覚だ。彼がまさかこんな大きなレーベルのオーナーだとは思わなかったよ。まさかそんな社長の彼が直接僕にコンタクトをとってきたとは思わなかったからね。そんなことは俺のキャリアのなかでもはじめてだから。ラッセルとの出会いは、やっと自分らしい音楽を作れる機会になったね。
■アルバムを作ろうというのはラッセルのアイディア?
ボビー:そうだね。ラッセルのアイディアでもあり、そしてデーモンのアイディアでもある。最初はデーモンとミュージシャン同士、ふたりでやりたいと思ってたんだ。ラッセルがレコード会社の社長だと知って、だいたいレコード会社の社長が関わってくるとろくなことがないから警戒していたんだけどね。私はハッピーだよ。結果にはとても満足をしているよ。
■彼らはあなたよりも若い世代のアーティストですが、あなたのようなレジェンド、先頃亡くなったギル・スコット・ヘロンとも少し前にアルバムを作っています。それは聴かれましたか?
ボビー:ギル・スコット・ヘロンとラッセルたちがやった素材を、今回のアルバムで2ヴァージョン使っているんだよ。ひとつは私が歌っているんだ。この作品は生きていて、はじめて自分になれたと感じられるような、そんな作品なんだ。
■アルバム・タイトルは何を示しているのですか?
ボビー:40年前に作った曲なんだけど。すばらしい曲、すばらしいグルーヴがある曲なんだ。でも、こういった形でアルバムに入れることになるとは思ってもみなかった曲だね。この曲は、過去と今の世界の状況、私が生まれてきたとき、人々は戦争をしていた。しかし、いまでも人間は戦争をしている。そんな状況に勇気を持って抗うというような意味があるんだ。いままであったいろんな理不尽な出来事は、今日の自分につながっているんだ。
■あなたはすばらしいシンガーであると共にすばらしいギタリストでもありますが、今回のアルバムのギターはもちろんあなたが?
ボビー:もちろんだ。ほとんど全部プレイしている。20年近くの間、ギターを触っていなかったからね。
■大ベテランのあなたから見て、デーモンのアーティストとしてのあなたの評価や印象はどう?
ボビー:デーモンは今回一緒にやって、私に新しい力を与えてくれたんだ。ロンドンでレコーディングをしていて、彼はきっちり6時にレコーディングを終えるんだ。デーモンも家族がいるから、その時間にきっちりと終える。その次の日もコンディションを維持したままでレコーディングに戻れて、良い作業ができた。それを続けられたというのは良かったね。それは私の長いキャリアでも無かったことだからそれはすばらしい経験になった。
■リチャードはアルバムの制作にはどんな形で関わったんですか?
ボビー:彼もミュージシャンとして加わっていたんだ。レコード会社の社長なのに、ミュージシャンでもあるというのは私には信じられなかったね。彼はいろいろな決定事項を担当していたという感じかな。横にいて、音楽的な相談もできる。リチャードは私の声が永遠に変わらないと言ってくれていたよ。自分の声をサンプリングして、いろいろ作業したりしたからすごく変な感じだった。娘がレコーディングの様子を撮影していて、デーモンとリチャードと3人がクリエイティヴな関係でレコーディングしている様子がそこに残されている。それはドキュメンタリーになるんだ。2年前のゴリラズのツアーから彼女がいろいろ撮っているんだ。飛行機から降りて、ホテルにいくまでずっとね。密着して撮影してある。ステージ以外の自分の顔、家族がいてというところまで収録されているんだ。
■レコーディングで思い出に残っていることはなんですか?
ボビー:スタジオにいるときの話で、そのとき、私の母が危篤状態に陥ったんだ。作業を止めて、母のところに行かなくてはということになったんだ。そのときにデーモンがサム・クックの曲を弾いてくれたんだ。それがいちばん思い出に残っているね。そのとき感極まって泣いてしまったんだ。そんな大事なレコーディングのときに母に会いに行ったら、母は絶対に怒る。そんな人なんだ。
■アルバムを作るときに、デーモンやリチャードにリクエストはしましたか?
ボビー:私からは何もリクエストはなかったよ。はじめはお金の話もしなかったぐらいだからね。紙面上の契約もだよ(笑)。デーモンは成功しているからその辺は安心してたよ(笑)。そういったお金の話はクリエイティヴィティに影響してくるから、良くないんだ。
リチャード・ラッセル インタビュー
■なぜボビーと共にアルバム・サイズでの作品を作ろうと思ったのですか?
リチャード:特にアルバムを作ろうとしてたわけではなくて、ただ一緒にスタジオに入ってどうなるか試してみたかっただけなんだ。特に具体的なアイディアとかがあったわけではないよ。スタジオでのセッションの時のエナジーがあまりに凄すぎて、みんな驚いてたね。
■今回のアルバムの制作についてデーモン・アルバーンとはどんな話をしましたか?
リチャード:「一緒に音楽を作ろう!」って言っただけで、それ以外はなにも話してないよ。デーモン・アルバーンは凄く感覚的なやつだからね。僕らはただスタジオに入って音楽を作っただけさ。ボビーの為に音楽を作って彼が歌うのを聴きたかっただけなんだよ。本当に彼の歌声は凄いんだ!
■ボビーとはどんなアルバムにしようかと話しましたか?
リチャード:ボビーは凄くオープンマインドだったから、僕らは曲の方向性が見えるまでひたすらジャムセッションを繰り返したよ。ボビーは彼らしくあろうとしてた。それって僕らが望んでいたことだし、僕が一緒に仕事をするアーティストすべてに望んでいることでもあるんだよ。アーティストには強く、自分らしくあってほしいね。
■今回の制作でいちばん気にかけた(楽しんだ)部分はどこですか?
リチャード:ボビーのとてつもなくソウルフルな声、デーモンの生まれ持った音楽の才能、あとは僕が作ったビートがいい感じに調和したんだ。いっぺんにこれらの違う要素が出てきたんだよね。僕らは人としても凄くいい関係を築けたし。それにしてもみんなでよく笑いあってたよ。
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掲載: 2012年04月04日 18:30