ディスクガイド
CLAMS CASINO 『Rainforest』 Tri Angle
エイサップ・ロッキーやマック・ミラーとの仕事だけ見ても、2011年のベスト・プロデューサーのひとりに挙げたい彼。魔女の館から出した本作は、電子音の煌めきがドリーミーなアンビエント空間を描き出す美麗音塊集。語彙が少なくてすみませんと言いたくなるほど美しかった!
NEON INDIAN 『Era Extrana』 Mom + Pop
この界隈の代表格として名を挙げられることの多かった元締め、ネオン・インディアンのセカンド・アルバム。ここではシューゲイズな質感も打ち出して早くも先のステップへ進んでいるというか、ポスト・チルウェイヴなどと面倒臭い呼び名を献上しておきたくなる。
MEMORY TAPES 『Player Piano』 Carpark
イェーセイヤーやグッチ・メインのリミックスなどを経てのセカンド・アルバム。ドリーミーな軽妙さでしなやかに駆ける音の位相はそのままに、重心を歌へと傾けた雰囲気が心地良い。こんな音をサントラにした青春時代があれば……と噛み締めたい人のためのサウンドトラック。
BIBIO 『Mind Bokeh』 Warp
ボーズ・オブ・カナダに見い出され、マッシュからデビューした彼の、ワープ移籍後の2作目。〈フォーク・ロックをIDM化した〜〉なんて形容されてた感じが大きく変貌したわけではないけど、ぼんやりした時代の音にマッチ。こういう才能が注目を引き戻す契機にもなるから、ハイプも悪くないです。
TWIN SISTER 『In Heaven』 Domino
このへんのキラキラしたサウンドスケープはどういう呼び方をしてもハマりそう。ブルックリンを拠点に活動する5人組がEPやカセットテープを経て出した初のCDアルバム。美しいストリングスやラウンジーなのんびり感もあって、似た形態ではメモリーハウスなんかも忘れ難いですね。
HOTEL MEXICO 『HIS JEWELLED LETTER BOX』 SECOND ROYAL
シーポニーに匹敵する良いジャケの砂浜をめざして、HOTEL PACIFICAにも似たお泊まりの旅へ。〈チルウェイヴを採り入れて〜〉というか自然に近い空気を纏ったものたちがそう呼ばれてるだけのこと。今年も海へ行かなかった私やあなたのための名品。
JAMIE WOON 『Mirrorwriting』 Candent Songs/Polydor
シンガー・ソングライターがダブステップを意識した……つまりはジェイムズ・ブレイクと逆ルートから現れて一瞬交差したのが彼。ブリアルの助けを借りたこのファースト・アルバムでも、ぼんやりディープな音像と凛とした歌声がギリギリ接合していてスリリングでした。
TROPICS 『Parodia Flare』 Planet Mu
ここ数年の下地作りが労われるほどの良作揃いだったプラネット・ミューが、いかに2011年的な雰囲気にピッタリ寄り添っていたかをチル〜サイケ方面から証明するのがこちら。真夜中に夢想する真昼のような、虚しくも美しい大傑作。黄昏れたシンセの響きが微笑んでいます。
WEEKEND 『LEISURE』 NICE
あっちのウィークエンドがミックステープで載せられないので、代わりに……なんてわけではない! 余暇が移動中の電車内ぐらいしか余暇がない私たちのための、いざ迎えた週末の気怠い開放感にも似た心地良い名作。フィッシュマンズもビーチ・ボーイズも都市のなかにあるリゾート空間だったね。
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