MARTIN SOLVEIG
いままで以上にポップへ舵を切った、キャッチーな大作が登場!
デヴィッド・ゲッタ、ボブ・サンクラーと並ぶ〈3大フレンチDJ〉のひとりであり、ドラゴネットのマルティナ嬢がキュート&セクシーなヴォーカルを披露する激甘ダンス・チューン“Hello”が現在ヨーロッパを席巻しているマーティン・ソルヴェグ。同曲は2011年を代表するヒットになりそうな様相で、ポップ・フィールドでの活躍も目覚ましいマーティンですが、もともとはクラブ・シーンでの活動が中心。そんな彼の経歴を駆け足で振り返ってみましょう。
マーティンが最初に注目を集めたのは99年、彼が21歳の時に自身のレーベル=ミクスチャー・ステレオフォニックから発表したシングル“Heart Of Africa”。この曲は、魅惑的なサックスとアフリカ音楽の洗礼を受けたリズムが躍動するディープ・ハウスで、フランキー・ナックルズやジョー・クラウゼルらの支持を獲得します。この後、DJグレゴリーと共にアフロ・ハウス・プロジェクト=アフリカニズムを始動させ、“Edony”をヒットさせるなどハウス・シーンで確固たる地位を築いていったのです。2002年には先述の2曲を収録した初のアルバム『Sur La Terre』をリリース。が、翌年にサリフ・ケイタ“Madan”のリミックスがビッグ・チューンとなったのを境に、アフロ・サウンドには一区切りを付けることになります。
サウンドに大きな変化が現れたのは、2005年の『Hedonist』あたりから。それまでのストリクトリーなハウス・ミュージックは鳴りを潜め、セルジュ・ゲンスブールやスティーヴィー・ワンダー、プリンス、レニー・クラヴィッツなど、彼の音楽的バックグラウンドにある面々の影響も表出させた同作からは、“Everybody”“Jealousy”“Rejection”とヒット・シングルを連発しています。残念なことに日本では話題に上りませんでしたが、同様の路線で完成度を高めた3枚目のアルバム『C'est La Vie』(2008年)は、この手のジャンルでは異例となる30万枚以上のセールスを記録するのです! そんな動きと並行して、ポップ化するオリジナル作品とは裏腹に、ダンス・ミュージックの聖地であるイビザのアワードを受賞したり、ディフェクテッドのミックスCD〈In The House〉にも登板。ストリクトリーなハウスDJとしても超一流の仲間入りを果たし、優男風なルックスに似合わず精力的に活動しているから驚きです。
さて、そんなマーティンが先述した“Hello”のヒットを受けて、4枚目のオリジナル作『Smash』を完成させました。今回はポップ化に拍車をかけ、自身の陽気でユーモラスな性格を全面に押し出したポジティヴの塊みたいな内容で、ストーリー仕立てになった“Hello”のPVもそんな雰囲気を象徴しています。他にもマーティン本人の哀愁漂う歌声が切ない聴き心地を誘う“The Night Out”、まさかのアイドリング!!!が参加したバブルガムなダンス・ポップ“Big In Japan”、サンデー・ガールをフィーチャーした壮大なクロージング・トラック“Let's Not Play Games”など、耳に残るキャッチーな曲ばかりが収録され、彼のポップメイカーとしての才能も完全に開花した様子。今回ばかりは日本も無視できないですね!
▼関連盤を紹介。
左から、マーティン・ソルヴェグの2008年作『C'est La Vie』(Mercury France)、『Smash』に参加したドラゴネットの2009年作『Fixin To Thrill』(Universal)、アイドリング!!!の最新シングル“Don't think. Feel!!!”(ポニーキャニオン)、ケリー(・オケレケ)の2010年作『The Boxer』(Wichita)
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