FUNKY MOFO MONKS――レッチリを先駆とする〈ミクスチャー・バンド〉を紹介
〈ミクスチャー・ロック〉という言葉は日本でのみ使われている用語だが、パンク〜ハードコアをルーツとしながらヒップホップやファンク、ソウル、スカ、レゲエといったブラック・ミュージックをミックスした音楽のことを指している。元を辿れば、バッド・ブレインズやミニットメンあたりのパンク〜ハードコア・バンドがその先駆ということになるが、実際に〈ミクスチャー〉と呼ばれるようになったのは、レッチリに加え、ソウルやファンク、スカ、ハード・ロック、パンクをハイブリッドさせたフィッシュボーンが最初と言えるだろう。LAでは他にも、パンクとUSルーツ音楽を融合していたセロニアス・モンスター、ファンクやメタルにサイケデリックな要素もプラスしたジェーンズ・アディクションといった面々が共振し、一方でサンフランシスコからはメタルをベースにファンクやヒップホップを織り交ぜたフェイス・ノー・モアなんかも登場。同時期にヒットしたランDMCやビースティ・ボーイズらリック・ルービン周辺の動きも手伝ってか、これらのバンドは80年代後期の音楽シーンに影響を与えることになる。
その後、レッチリの直系と言える音を鳴らすサンフランシスコのリンボーマニアックスやオランダのアーバン・ダンス・スクワッドらが続いたほか、ハード・ロック/ヘヴィー・メタル界隈でもスラップ・ベースやファンキーなサウンドを採り入れるバンドが一気に増殖。また90年代以降はハードコア×ヒップホップのレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、パンク×レゲエのサブライムが登場したのをはじめ、ミクスチャー・ロックの枝葉はみるみる広がっていくのだった。
▼関連盤を紹介。
左から、バッド・ブレインズの82年作『Bad Brains』(Roir)、フィッシュボーンのベスト盤『Playlist: The Very Best Of Fishbone』(Columbia)、ジェーンズ・アディクションの88年作『Nothing's Shocking』(Warner Bros.)、フェイス・ノー・モアの89年作『The Real Thing』(London)、アーバン・ダンス・スクワッドの89年作『Mental Floss For The Globe』(Arista)、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの92年作『Rage Against The Machi-ne』(Epic)