バニラビーンズ
アイドル本来の〈自由さ〉を体現する清楚でイノセントなオンナのコ
バニラビーンズは〈アイドル〉である!──。巷のアイドルからすればアダルトな部類に入るお年頃ではあるし、お楽しみの水着グラビアもなければ、ファンとの握手会はビンタやキックという行為に差し替えられていたりするし……しかし、このたび彼女たちのニュー・シングル“天国への階段”ならびにアルバム『バニラビーンズ II』をリリースするのは、タワレコが新設したアイドル専門レーベル、T-Palette(レンタル移籍とかいうやつで)。そう、アイドルとして彼女たちは〈大手〉からも立派に認知されたのである。しかし、アイドルである!と声高に言う理由はそれだけじゃない。様式化されたサウンドのアイドル・ポップが少なくないなか、フリーフォームというアイドル本来の在り方を体現し、あれやこれやのサウンドを貪欲に呑み込みながらハイセンスでチャーミングなポップスを聴かせているところこそ……ってことは皆さんご承知ですよね~。
──今回の『バニラビーンズ II』は、ものすごくアイドルっぽいアルバムだなと。
リサ「へぇ~!」
レナ「ホントですか!」
──キャピキャピしてるとか、そういう拙い意味でのアイドルっぽさではなくて、アイドルって本来これぐらいいろんなことをやっていいんだよなあっていう。ファースト・アルバム以降のシングルなどでは、サウンド的にいろいろなトライをしてきたと思うんですけど、『バニラビーンズ II』ではなんとなく原点回帰の様相も見せつつ。
レナ「そうですね、“LOVE & HATE”や“Def&Def”“100万回のSMK”ではいろんなジャンルに挑戦させていただいきましたけど、やっぱりそれって変化球だったと思うんですよね。今回は真っ直ぐな、ファンの方の期待を裏切らないアルバムを作りたいなと思って、こういう形になったんです。今回のアルバムは自分たちの意見もだいぶ採り入れていただいて、ね?」
リサ「うん、初めてだったね、そういうの。制作に入る前に意見を出し合う会があって。ファンの方からは“ニコラ”とか“サカサカサーカス”みたいなラインが好きだっていう声をよく聞いていたので、今回はそういう人たちの期待を裏切らない一枚になってるなっていうのもあるし、いままでのバニラビーンズを知らなくて、ここから聴きはじめる人にも受け入れてもらえるような作品になったと思います」
──真っ直ぐを主体にしながら巧みに変化球を交えていくという……いやもう、このアルバムにはすでにキリキリ舞いです。ご自身でもしてやったりと思うところはあるんじゃないですか?
レナ「思ってますし、今回のアルバムは一枚通してプロデューサーさんにガッチリついていただいて、信じるものがあったというか、私たちものびのびとやれたのかなって」
──アイドル通として知られるレナさんですけど、他人の振り見て……みたいな意識はあったりするものですか?
レナ「アイドルはよく聴いたり観たりしてますけど、ただの趣味でしかないので、それに倣ってっていうのはほとんどないですね。むしろ戦わない、好きだからこそ張り合わない、その前に勝ち目ないって思っちゃいますもん(笑)」
──ところで今回のアルバムでは、歌い方に工夫を凝らしている曲が何曲かあって。
リサ「あら! ちゃんと聴いてくださってるんですね」
──もちろんです! バニラビーンズのヴォーカル・スタイルってお人形さん的というか、あえて感情を込めていないような歌い方でしたけど、今回はそれだけじゃなく。
レナ「ちょっとだけ成長してますね、ちょっとだけ(笑)」
リサ「ミックスも凝っていて、ソロ曲以外はヴォーカルを完全に左右に振り分けていたりするんですよね。ヘッドフォンで聴くとよくわかると思います」
──そうですね。歌詞の面では、より2人のプライヴェート感が表れていて。
レナ「歌詞を書いてくださったのがデビューの時から私たちをよく知ってる方々で、それで生々しい部分も出てきてるのかなって」
──特にソロ曲は今回のハイライトだと思うし、“天国への階段”みたいな変わり種もあったり、ものすごくヴァラエティーに富んでいて、そういう意味でもアイドルのアルバムとして理想的だなあと。
レナ「ジャケットも絵になっちゃいましたしね。〈アイドルじゃねえじゃん!〉ってTwitterではそういう感想をたくさんいただきましたけど(笑)」
リサ「私が〈でもいいでしょ?〉ってツイートしたら、〈それでもまあ、聴くけど……〉っていう意見もあったり、アイドル好きの方にしてみたら物足りないのかもしれないですけど」
レナ「でも、バニビ好きな方って、結構変化球打ちが多そうですもんね。ヒロ杉山さんの絵を買うと思っていただいてもいいんじゃないですかね」
──アルバム収録曲については別項を参照していただくとして、最後にひと言ずつ締めの言葉をいただければ。
リサ「この作品には自分たちの意見も反映されてますし、すごく自信があるだけに他の人が聴いた時にどう思うんだろう?っていうのがすごく気になるんですよね。どう聴かれるのか怖いなって。でも、自信があることには変わらないので、私たちの名前は知っていても、ちゃんと聴いたことないっていう人たちにはぜひ聴いてほしいですね」
レナ「アイドル専門レーベルの第1弾としてバニラビーンズを選んでいただいて、初めはすごくプレッシャーとかあったんですよ。レンタル移籍ってなんぞや?とか。ですけど、出す作品がいままでになかったほどの自信を持って出せるものなので、まずは聴いていただきたいなって思いますし、Negiccoさんと手を取り合って、いっしょにT-Paletteを盛り上げていきたいなって思います!」
▼バニラビーンズの作品を一部紹介。
左から、2009年作『バニラビーンズ』、2010年のミニ・アルバム『Def&Def』、ベスト・アルバム『VaniBest』(すべて徳間ジャパン)