NOBODY LOVES ME――嫌われてナンボのセレブだったフレッド・ダースト
フレッド・ダーストが憎まれたのは憎々しげな面構えのせい? 自信たっぷりな発言のせい? ともかく、リンプのブレイクを彩ったのが、フレッドと周囲の軋轢だったのは確かだ。特にクリードのスコット・スタップとの不仲ぶりは有名だったし、トレント・レズナーやコートニー・ラヴ、トゥール、マリリン・マンソンらの批判も思い出される。極めつけは2000年のVMAでリンプが受賞した際にティム・C(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)がセットに登って妨害し、逮捕された事件だった。いずれにせよ、仮想敵にしやすい存在としてリンプが君臨し、フレッドがそれに違わぬ〈ロックスター〉的な振る舞いを見せていたことが周囲の嫌悪に繋がったのだろう。
そんな状況に参入したのは仲の良かったエミネムで、実際に〈関係〉があったとされるフレッドとクリスティーナ・アギレラを“The Real Slim Shady”で下品に描写したのだ。しかも、エミネムとエヴァーラストの確執に絡んで“Without Me”でディスられ、絶縁状態になってしまった(後に和解)。また、2003年にブリトニー・スピアーズから曲提供をオファーされたフレッドは恋愛関係になったと明かすも、彼女に〈よく知らない人〉呼ばわりされて怒り狂うという事件もあった(真相不明ながら、エミネム&マライアの件と同例か?)。リンプがいかにセレブ状態だったかを示す話だが、最近こういうロックスターがいないのは、やはり少し寂しいかも。
▼関連盤を紹介。
左から、クリードの99年作『Human Clay』(Wind-Up)、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの2000年作『Renegades』(Epic)、クリスティーナ・アギレラの99年作『Christina Aguilera』(RCA)、エミネムの2000年作『The Marshall Mathers LP』(Aftermath/Interscope)、ブリトニー・スピアーズの2000年作『Oops! ... I Did It Again』(Jive)