THIS IS SOMETHING FOR THE RADIO――(2)
CHUCK BERRY “Maybelline”
“Day Dream”からはボ・ディドリーのシャッフル・ビートやレイ・チャールズ得意のカントリー&ウェスタン調ダンス曲の影響も窺えるが、やはり真っ先に思い浮かぶのはチャック・ベリー。彼一流の軽妙洒脱なロックンロールが味わえる“Maybelline”は、映画「キャデラック・レコード」のサントラでモス・デフがカヴァーしたことでもお馴染み。
MARVIN GAYE “How Sweet It Is (To Be Loved By You)”
前作『The Way I See It』の“Never Give You Up”に引き続き、“Moving Down The Line”でふたたびマーヴィン・ゲイにリスペクトを示すラファエル。今回はニュー・ソウル期ではなくノーザン・ソウル期のマーヴィンにスポットを当て、H=D=H流儀のビートに乗せてあのジェントリーでデリケートなヴォーカルにチャレンジしている。
STEVIE WONDER “For Once In My Life”
心地良いギター・リフで幕を開ける“Just Don't”は、60年代後半のスティーヴィー作品をモチーフにしている可能性大。『For Once In My Life』『My Cherie Amour』『Signed, Sealed & Delivered』の3枚を聴けば、同じようなタイプの曲をいくつか見つけられるはず。アルバムを締め括る“The Answer”もスティーヴィー的?
THE CHARMELS “As Long As I've Got You”
アルバム中でもひときわ異彩を放つ、いなたくも妖しいサザン・ソウル“Good Man”。70年代ソープ・オペラ風のPVも素晴らしいこの曲は、ウータン・クラン“C.R.E.A.M.”のネタとして知られるチャーメルズ“As Long As I've Got You”など、60年代後半のダークで混沌としたスタックス・サウンドを想起させる。
EL MICHELS AFFAIR “Glaciers Of Ice”
“Good Man”のプロダクションは、これまでダップトーン/トゥルース&ソウルが試みてきたメンフィス・ソウル解釈に通じるところがある。とりわけエル・ミシェルズ・アフェアのウータンやアイザック・ヘイズのカヴァー集、ジェイ・Zやキッド・カディも引用したメナハン・ストリート・バンド作品は、音質からしてそっくり。