THIS IS SOMETHING FOR THE RADIO――(1)
Stone Rollin'なラジオから聴こえてくる曲は、たとえば……
SLY & THE FAMILY STONE “Dance To The Music”
“Heart Attack”での聴き手を強引に高みに引きずり上げるような煽動的なリフは、間違いなくスライ&ザ・ファミリー・ストーンのそれ。この“Dance To The Music”をはじめ、同路線の“M'Lady”あたりを連想した人も少なくないだろう。一方、シークレット・トラックの“The Perfect Storm”は『There's A Riot Goin' On』期のスライからの影響大?
THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE “May This Be Love”
『Stone Rollin'』を掘り下げていくにあたって重要なキーワードになりそうなのが、サイケデリック・ソウル。“Go To Hell”“Over You”で聴ける幻想的なサウンドスケープは、“May This Be Love”“Bold As Love”といったジミの一連の傑作バラードを思わせる。手数の多いバタバタしたドラムもミッチ・ミッチェルっぽい。
OHIO PLAYERS “Our Love Has Died”
“Go To Hell”や“Over You”のインスパイア源になったようなサイケデリック・ソウルをもうひとつ、GZA“B.I.B.L.E.”やダ・キング&アイ“Tears”のネタとして名高いこの曲を。ほかでは同じウェストバウンドのファンカデリック初期作品、シャギー・オーティスやロータリー・コネクションの諸作とも聴き比べてみてほしい。
THE BEATLES “I'm Down”
サイケデリック・ソウルと並ぶアルバムのもうひとつの重要キーワードといえるのが、リズム&ブルースをベースにしたブリティッシュ・ビー ト。リード曲“Radio”はその感覚がもっともわかりやすく打ち出されている楽曲で、“I'm Down”のほかにも“Boys”や“Bad Boy”の影がちらつく実に楽しいビートルズ・オマージュだ。
THE ROLLING STONES “Down Home Girl”
ブルース・ハープをフィーチャーした“Stone Rollin'”は、トニーズのデビュー曲のタイトルが“Little Walter”であったことを思い出す泥臭いミッドテンポ。だが、そのアプローチはもろなブルースというよりあくまでブリティッシュ・ビート的で、黒人音楽への憧憬をまっすぐに表現していたデビュー時のストーンズと重なる。
THE DETROIT COBRAS “Stupidity”
“Radio”“Stone Rollin'”でのラファエルのリズム&ブルース/ロックンロールに対するスタンスは、デトロイトのネオ・ガレージ・ロック勢とも見事に呼応する。特に聴いてもらいたいのが60sソウル/ガール・グループのカヴァーのみを演奏するデトロイト・コブラズで、これはチンピラ臭満点なソロモン・バーク曲のリメイク。
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