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JENNY FROM THE BLOCK――J.Loのストリート・マナーを支えたマーダー・インクの男たち

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2011年05月18日 17:59

更新: 2011年05月23日 19:02

ソース: bounce 332号 (2011年5月25日発行)

文/狛犬

 

J.Loがデビューした当時のコマーシャルなUS音楽シーンでは、ラテン・ブームとR&B/ヒップホップのバブルが並行していたし、制作陣がその両獲りを狙ったのもよくわかる。が、スペイン語作の実績を下地にインターナショナル作に挑んだ人たちと違い、J.Loは最初からハイブリッドを志向していた点で、コミュニティーでの受容のされ方はやや異なっていたのではないか、と思う(というか本国では、最新作まではシングルもアルバムも最大の支持基盤はR&Bチャートだった)。本人的にも後の“Jenny From The Block”で“South Bronx”や“Hi-Jack”を用いていたことからもわかるように、ブギー・ダウン女としての意識を身に纏っていたはずだ。そんなわけで、ファット・ジョーやビッグ・パンのようなプエルトリカン仲間とのコラボを重ねつつ、バブルを作り上げた張本人のディディに彼女が接近したのは当然だった。

で、ディディと別れた彼女が、バッド・ボーイを蹴散らして時代の音を創造しはじめたアーヴ・ゴッティ主宰のマーダー・インクと組んだのもわかりやすい。『J.Lo』からリカットされた“Ain't It Funny”と“I'm Real”がいずれも全米チャートを制したのは、絶頂期のジャ・ルールを迎えて別曲に仕立てたアーヴのリミックス効果だろう。後者をソングライトしたアシャンティが続いてブレイクするなど、双方に旨味のあるファミリー的な交流ではあったが、少ししてアーヴ周辺に黒い噂が立ちはじめる頃には、J.Loはもうそこにはいなかった。この絶妙な危険察知能力こそがブロンクスで学んだことだったりして……。

 

▼関連盤を紹介。

左から、ジャ・ルールの2001年作『Pain Is Love』、アシャンティの2002年作『Ashanti』、2002年のレーベル・コンピ『Irv Gotti Presents The Inc.』(すべてMurder Inc./Def Jam)、ファット・ジョーの2005年作『All Or Nothing』(Terror Squad/Atlantic)

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