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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年05月11日 18:00

ソース: bounce 331号 (2011年4月25日発行)

文/岡村詩野

 

 

今年頭には曽我部恵一とツアーをするなど活動の場と表現の幅を広げている前野健太。どこか異臭を放つシンガー・ソングライターと思われているフシもあるようだが、実際はかなり大衆目線を持ったアーティストでもある。というより、普段誰もが見ているはずの、でも見過ごされてしまうような生活のなかに潜む小さなくすみ、垢、傷にしっかりフォーカスできる優れた表現者。ただし、アウトロー感覚の持ち主でもあるので、そういう意味でも70年代のルー・リードに匹敵する都市型路上系詩人、すなわち〈ストリート・ロッカー〉と呼ぶに相応しいと思う。メロディーには琴線に触れるようなフックが効いているし、言葉も決して独りよがりではなく平易。最新作となる3作目『ファックミー』は、視点を低くして社会に向き合う自分自身を投影させた大傑作だ。三輪二郎、ポップ鈴木らを迎えてバンドで録音した曲もあるが、前野健太個人が自分の足でスクッと立っている。

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