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特集

温かい春の風に乗って……唄う男たち――(1)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年05月11日 18:00

ソース: bounce 331号 (2011年4月25日発行)

文/岡村詩野、加藤直子、北爪啓之

 

鴨田潤 『一』 KAKUBARHYTHM(2011)

二階堂和美のアルバムをプロデュースした時の歌モノ感覚を、自分自身の作品に置き換えたらどうなるか?——イルリメが本名名義で発表する全国流通作品としては初めてとなる本作は、そんなこちらの想像に対する回答のようでもある。ここにあるのは、一見穏やかだが諧謔味たっぷりで時には厳しかったりする歌詞や、身体に寄り添うようなメロディーに包まれた自身の歌とギター。これまでのイルリメ作品に見られたラップや攻撃的なトラックはない。だが、いまの彼にとても馴染んでいる。二階堂を手掛けた時のように最初はポップなスタイルを意識したのかもしれないが、結果、自分を深くディグするようなアルバムになったということなのかもしれない。という意味でも、これ以上ないシンガー・ソングライター作だ。*岡村

次松大助 『Animation for oink, oink!』 Pヴァイン(2009)

The Miceteethの解散後に発表した初のソロ作。管楽器やヴァイオリンを交えたアレンジでラテンやジャズの要素を採り入れているが、あくまでピアノやオルガンをみずからこなす本人の温かさを湛えた歌が柱になっている。バンド時代とは一味違うメランコリックなメロディーにもホロリ。*岡村

高野寛 『Kameleon pop』 ユニバーサル(2011)

80年代から活動を続けるポップ・マエストロ。これはルーツであるトッド・ラングレンやYMOのカヴァー、ブラジル音楽やネオアコ、エレクトロニカまでを横断した、タイトル通りにカラフルなポップスが満載の快作だ。聴き入るにつれ、高野の歌声自体が柔和な色彩感に溢れていることに気付くはず。*北爪

NAOITO 『379DAYS』 TUFF BEATS(2011)

アフロビート・バンドのKINGDOM☆AFROCKSでパーカッション/ヴォーカルを担当し、昨年『雑食familia』でソロ・デビューしたNAOITOの2作目。世界中を旅して各国のストリートで体験したローカルな音楽を吸収し、その現場の空気や熱気と共に自身のフィルターを通したサウンドを届けてくれる。アコースティックをベースにラテンやサンバ、クンビア、USルーツ音楽を感じさせる音を奏でつつ、メロディーのそこかしこにはしっかりと日本的なムードも宿っているという雑食性が特徴だ。また線の細いヴォーカルによる、時に唱歌や童謡のような、時に場末の酒場で演奏している姿が脳裏に浮かぶブルージーな歌もまた魅力で、耳を捕らえて離さない。異国情緒を漂わせながらもどこか親近感の湧く、良い意味でのラフさが素敵。*加藤

細野晴臣 『HoSoNoVa』 daisyworld discs/Labels UNITED/スピードスター(2011)

みずから全曲でヴォーカルを取るアルバムは、『HOSONO HOUSE』(73年)以来。鈴木茂、ヴァン・ダイク・パークスやCoccoなどゲストを招き、SAKEROCKの星野源とも共作している朴訥とした風合いの作品で、御年63歳の人間味を堪能してこその一枚と言えよう。*岡村

七尾旅人 『billion voices』 felicity(2010)

キャリア10年を超え、ついに長いトンネルを抜け出したかのように開放的なムードが滲む傑作だ。音楽性の広がりを制限することなく、豊富な語彙を持つサウンドが散りばめられた楽曲群。アヴァンギャルドにも映るスタイルだが、そこにはポップ・ミュージックであろうとする気概が貫かれている。スゴイ。*加藤

武藤昭平withウエノコウジ 『マリアッチ・パンクス』 UKプロジェクト(2011)

勝手にしやがれのリーダーが、元ミッシェル・ガン・エレファントのベーシストと組んでアルバムを発表。アルバム・タイトルそのままにパンクをメキシコのマリアッチで割ったような独自の音楽性を消化した演奏が新鮮だが、歌に対する意識の高さが最後まで貫かれているのが良い。*岡村

 

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