全曲解説(2)――『電気グルーヴのゴールデンヒッツ~Due To Contract』
9. 電気グルーヴ×スチャダラパー“聖☆おじさん” (2005年)
接点がありそうでなかったスチャとのドリーム・ユニットによる2枚目のシングル曲。音の隙間を活かしたクールなエレクトロ・ファンク……なのだが、「誰を呼ぶ?」「聖おじさん!」というサビの掛け合いは、なぜか〈ゴーストバスターズのテーマ〉風。*澤田
10. “少年ヤング(Movie Mix)” (2007年)
長く緩やかな休止期間を経ての復活シングル曲。元BEAT CRUSADERS(現MONOBRIGHT)のヒダカトオルによるギターを大々的にフィーチャーしたサウンドが『Brotherfood』の頃の中期ニュー・オーダーを彷彿とさせるし、その意味で彼らをリスペクトしてきた電気の王道をいくポップ・チューンと言えるのでは。*澤田
11. “モノノケダンス(Video Edit)” (2008年)
アニメ「墓場鬼太郎」のオープニング曲。シンプルで、徹頭徹尾エレクトロニック。にもかかわらず、人懐っこいポップソングとして成立し得ているのが素晴らしい。→のコンピにも収録されているジョシュ・ウィンク“Don't Laugh”からの引用と思しき笑い声が随所で不気味に響き渡る。*澤田
12. “Fake it! (Video Edit)” (2008年)
明快にダンス・ミュージックを志向した傑作『Yellow』を代表するトラックでしょう。ジョルジオ・モロダーのミュンヘン・サウンドやボビー・Oの手掛けたディヴァインのナンバーなどを彷彿とさせる――つまり卓球がもっとも得意とするスタイルの電音ディスコ。*澤田
13. “The Words(Japanese)” (2009年)
前曲“Fake it!”の流れを受け継ぐディスコティークなアッパー・チューン。もともとは『Yellow』収録曲だが、こちらは後にリリースされたシングル・ヴァージョン。英語詞の大部分が日本語詞へと改変されており、言うなればクラフトワークの日本語曲“電卓”の電気版? *澤田
14. “タランチュラ(Unreleased Version)” (2009年)
結成20周年記念作『20』収録曲の未発表ヴァージョン。不気味かつ、ほのかにエロい(気もする)リリックを卓球が朗々と歌い上げており、電気のワン・アンド・オンリーな言語感覚&歌謡曲めいたポップ・センスを堪能できる怪作。UKAWANIMATION!での活動も話題を呼んだ宇川直宏の手によるPVも話題に。*澤田
15. “Upside Down” (2009年)
現時点での最新シングルは、生のストリングスと女性ヴォーカルをフィーチャーしたパワフルな歌モノ・ハウス。ケヴィン・サンダーソンのユニット、インナー・シティあたりを思い起こさせるソウル~ガラージ的な官能性とグルーヴを備えており、この感触は旧来の電気になかったものでは? *澤田