FMを送り出したレーベル、チェリートゥリーとは……
毎月同じようなことを書いていて恐縮ながら……FMを紹介するなら、その所属レーベルとなるチェリートゥリーについても紹介しておかねばなるまい。レーベルを率いるのはインタースコープのA&Rを務めるマーティン・キールセンバウム。つまり、いわゆるインディー・レーベルのような独立機構というよりも、マーティンが関与したアーティストに付与されるタグと捉えたほうがわかりやすいかもしれない。FMのケヴ・ニッシュによるマーティン評はこうだ。
「彼のことは昔から一方的に知っていたんだ。レディ・ガガを発掘した敏腕A&Rマンで、ブラック・アイド・ピーズやエミネムを国外でブレイクさせるのに一役買った人だってね。だから彼の役割も知っていたし、所属アーティストがどれも俺たちの音楽的な目標と相通じるのはわかっていた。所属アーティストの幅は広いけど、まさに俺たちのプレイリストそのものだ」。
ということで、再々書いているように、もともとスティングなどを担当していたマーティンは、ロシアのローカル・アクトだったt.A.T.uのワールドワイド・デビューを仕掛けて業界に名を馳せ、2005年にチェリートゥリーを設立。フリップサイドやレディ・ガガ、LMFAOといった(その時点では)オルタナティヴな立ち位置にいた面々をメジャーな存在へと押し上げてきた名裏方だ。そのガガのDJを務めたスペース・カウボーイの全米デビューを仕掛けたように、ロビンやラ・ルー、キーン、トキオ・ホテル、モホンビといったヨーロッパで人気のアーティストをちょっとエッジーな異物としてUSマーケットに投入してくるのも得意技のひとつ。ガガやトキオ・ホテル、FMらの作品にはソングライター/プロデューサーとしても参加するなど音楽面に関与することもあるが、基本は背広組としての暗躍ぶりを評価すべき人だろう。この後のチェリートゥリーにはFMの“2 Is Better”に客演したナタリア・キルズの処女作『Perfectionist』も控えており、これがまたヤバそうで……。
▼関連盤を紹介。
左から、レディ・ガガの2008年作『The Fame』(KonLive/Streamline/Cherrytree/Interscope)、スペース・カウボーイの2009年作『Digital Rock Star』(iger Trax/Cherrytree/Interscope)、ロビンの2010年作『Body Talk Pt. 2』(Konichiwa)、フリップサイドの2009年作『State Of Survival』(KonLive/Cherrytree/Interscope)、LMFAOの2009年作『Party Rock』(Party Rock/Will.I.Am/Cherrytree/Interscope)、トキオ・ホテルの2009年作『Humanoid』(Cherrytree/Interscope)、ダイ・アントワードの2010年作『$O$』(Cherrytree/Interscope)
- 前の記事: FAR EAST MOVEMENT
- 次の記事: 本特集のサブテキストとなるFREE WIRED盤