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東京 春 音楽散歩──音楽のある〈場所〉(2)

カテゴリ : Exotic Grammar

掲載: 2011年03月22日 16:18

更新: 2011年03月22日 17:28

ソース: intoxicate vol.90 (2011年2月20日発行)

text:小沼純一(音楽・文芸批評家/早稲田大学教授)

『東京・春・音楽祭』、演奏する場所にフォーカスしながらみてみよう。

東京文化会館では、大ホールでのマーラーの歿後100年を記念してのコンサートをはじめ、小ホールでの「ニーノ・ロータへのオマージュ」「アルゼンチン・タンゴの夕べ」、『ガリバー旅行記』を朗読とテレマンの音楽などと組み合わせるコンサート。

むかいにある国立西洋美術館では、『レンブラント 光の探求/闇の誘惑』展がおこなわれていて、その記念コンサートとして、偉大な画家とおなじフランドルの作曲家がのこした作品を聴くことができる。クローズアップされるのは、スヴェーリンクとファン・エイク。前者はチェンバロの曽根麻矢子による演奏、後者は、太田光子と浅井愛によるリコーダーを中心にして曲集《笛の楽園》を。


©青柳聡

レンブラントのようなヨーロッパの「古典」に対し、上野の森美術館でおこなわれるのは「VOCA展2011」。新作の平面作品がならぶ、ホットな展覧会には、シュテファン・フッソングによるアコーディオン演奏。プログラムされるのは、バッハもあるが、ストラヴィンスキー、ケージ、原田敬子、グバイドゥーリナといった20世紀を中心とした作品たち。美術と音楽が、ここで、どのようにひびきあうのだろうか。

歴史的な建物として貴重なのは、旧東京音楽学校奏楽堂。1890年に創建、日本最古の木造様式音楽ホールで、重要文化財にも指定されている。こうしたところで川田知子を中心とするシューベルト晩年のピアノ三重奏2曲にふれるのは如何か。

奏楽堂よりつくられたのはもっと古い国立科学博物館は1877年の創建。残念ながら関東大震災で全焼したため、現在は1931年の再建だが、それでもはいってみると昭和初期の美学をしっかりと体感できる。音楽祭の時期は「宝石サンゴ展」がおこなわれているとのこと。ここでは小規模ながらも、めずらしいコンサートがならぶ。科学博物館の名をあらわすがごとく、楽器という「テクノロジー」がクローズアップされているとの見方をしてみたらどうだろう。久元祐子による「ショパンが愛したピアノ、プレイエルの響き」とのリサイタル、原田節のオンド・マルトノ、和谷泰扶のハーモニカ、波多野睦美とつのだたかしのデュオ、戸田弥生のヴァイオリン・リサイタル、「高校生フルート奏者」とのうたい文句がある新村理々愛フルート・リサイタルというように、小規模ながらめずらしいものがならんでいる。

4月には前評判の高い『写楽』展がおこなわれている東京国立博物館。法隆寺宝物館(谷口吉生設計)と平成館(安井建築事務所)で、ともにまだ建てられたのは新しい。演奏される作品はバッハをメインとするというコンサートが4つならぶ。ピアノの田崎悦子、ギターの福田進一、チェンバロの中野振一郎、チェロの横坂源との実力派ラインナップ。

さいごに、JRをはさんで反対側にある、上野学園石橋メモリアルホールでは、音楽大学の付属施設だけあって、京都フランス音楽アカデミーの特別演奏会、そして、N響メンバーによるモーツァルトやベートヴェンの弦楽四重奏といったものが予定されている。

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