こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

TRUE COLORS vs TRUE BLUE?――かつてのライヴァル、マドンナとシンディをいまあえて比較してみると……

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2011年03月04日 18:16

更新: 2011年03月04日 18:17

ソース: bounce 329号 (2011年2月25日発行)

文/村上ひさし

 

シンディ・ローパーとマドンナ。〈何をいまさら?〉と思われる方も多いかもしれないが、この2大アイコンを比較することで、おのずとシンディの立ち位置が見えてくるはずだ。例えばデビュー当時のマドンナがお色気ムンムンだったのに対して、シンディはあくまでもガーリー路線。83年のソロ・デビュー当時、すでに三十路に突入していたというのも信じ難いが、Mさんが女の武器を大いに活用しまくりセクシーに腰をグラインドさせていたのに対して、シンディは〈女の子だもん、楽しまなくっちゃー!〉とカラフルなブッ飛びファッションに身を包み、スキップしながらフリーダムを提唱してみせた。同時代ならガールズ・バンドのゴーゴーズにも同じ傾向が認められたし、その後もケイティ・ペリーやケリー・オズボーン、メイシー・グレイやミッシー・エリオット、ニッキー・ミナージュ、リリー・アレン、イェールなどなど、時代を超えて脈々と受け継がれている。

しかし、だからといってセクシャリティーへの言及を避けてきたわけではなく、Mさん同様に同性愛者の兄妹を持つシンディは、ゲイやレズビアンといったセクシャル・マイノリティーに関する活動家であるのは衆知の通りだ。ただ、ここでもふたりの立ち位置は微妙に異なっており、みずから〈中味はゲイ男性〉と言い放つMさんは権利や主張を掲げることが多いが、シンディのほうは“True Colors”のようにそっと共感を呼ぶ形で人々のハートに訴えかける。片や女王様、片や庶民派という目線の違いだろうか。また、85年のグラミー新人賞においてはシンディが受賞し、マドンナは候補に挙がらなかった。そして15年後の2000年に同賞を受賞したクリスティーナ・アギレラがシンディの、破れたブリトニーがマドンナの、それぞれ後継者とも呼べそうなキャリアを築いているのがおもしろい。

アイコンとして脱皮を繰り返し、世の中を扇動してきたマドンナ。一方のシンディはと言えばミュージシャンとして成長を重ねながらも、生き様や人柄においてはまったくブレた試しがない。きっといくつになっても可愛いオバちゃんでいてくれるに違いない。

 

▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。

左から、マドンナの84年作『Like A Virgin』、同86年作『True Blue』(共にWarner Bros.)、ケイティ・ペリーの2008年作『One Of The Boys』(Capitol)、メイシー・グレイの2001年作『The ID』(Epic)、ミッシー・エリオットのベスト盤『Respect M.E.』(Atlantic)、リリー・アレンの2009年作『It's Not Me, It's You』(Capitol)、イェールの2007年作『Pop Up』(Source)、2010年のサントラ『Burlesque』(RCA)

インタビュー