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SuiseiNoboAz

 

「〈この病んだ現代社会を告発する〉(笑)っていうようなメッセージはない」「人の気を引く、当たり前の表現をしている」「私の音楽は、マニアックとか言われるんです。でもマニアックとは思ってない。これがロックじゃないの?って、至極真っ当なものをやってるつもりなんです」——立川志らくの「演劇らくご〈疝気の虫〉」のパンフレットにおいて、向井秀徳(ZAZEN BOYS)はそのように語っている。そしてその言葉は、SuiseiNoboAzが鳴らすロックンロールにもそのままあてはまるような気がする。

結成は2007年。昨年の〈フジロック〉の〈ROOKIE A GO-GO〉にも出演している彼らは、凄まじい気迫のライヴで地下シーンを掻き回す新世代バンドのなかでもどこか一匹狼的な孤高さを纏った存在である。今年1月に発表された初作『SuiseiNoboAz』は、上述の向井がプロデュース。決め打ちで依頼したわけではなかったようだが、踊り念仏+ヘヴィー・メタルというか、キレッキレのラップ+脱臼ファンクというか……なナンバーや、90年代オルタナ直系の轟音が唸りを上げる楽曲には、ナンバーガールやZAZEN BOYSにも通じる匂いが。そこにフォーク、ブルース、ダブ、サイケデリックな要素を加味してフックに満ちた音世界を作り上げているが、奇を衒ったというよりは60~70年代ロックのヴィンテージな質感を大事にしながら〈振り切れる瞬間〉をコレクションした音楽のように思える。ネイキッドなサウンドから滲み出す乾いた詩情と、そこはかとない色気。ナチュラルに異質な3人組である。

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2010年11月22日 13:02

更新: 2010年11月22日 13:14

ソース: bounce 326号 (2010年10月25日発行)

文/土田真弓

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