特集からは脱線しますが、ポウ・トラックスについてのおさらいです
エイヴィ・テアがオーナーを務めるポウ・トラックス(以下PT)は、最近だとトロ・イ・モイやライト・ポリューションなどのセールスも好調なカーパークのサブ・レベールとして、2003年に設立されました。ちなみに、PTのカタログ・ナンバー1番はアニマル・コレクティヴの2003年作『Here Comes Indian』。そして、その翌年には本隊でヴォーカル/パーカッションなどを担当するパンダ・ベアのソロ・アルバム『Young Prayer』や、アリエル・ピンク率いるホーンテッド・グラフィティの『The Doldrums』を送り出し、徐々にコアな音楽ファンから注目を集めるようになっていったのです。
とはいえ、そこからレーベル規模を拡大するわけでもなく、地道な活動を展開(ブラック・ダイスにしたって、ヴォーカルのエリック・コープランドがかつてエイヴィのルームメイトだったよしみでDFAから移籍してきたわけですし……)。いまもレーベルの主軸を支えているのは、アニコレ・メンバーのソロ・プロジェクトや、エイヴィと彼の妻である元ムームのクリスティン・アンナ(a.k.a. クリア・ブレッカン)のコラボ・ユニット、妹のアヴィ・ポートナーも在籍するファースト・ネイション(後にリングスへと改名)など、身内の方々ばかりなわけです(それにしたって、エイヴィの周辺は才能溢れるアーティストでいっぱいですね)。
現行USインディー・ロックのトレンドであるアヴァンなサイケデリック・ミュージックをいち早く世に紹介し、ムーヴメントの中核を担ってきたPT。年末から年明けにかけてディーケンやパンダ・ベアのニュー・アルバムも控えているそうで、しばらくはこのレーベルの動向を追いかけておいたほうが良さそうですよ。
▼関連作を一部紹介。
左から、トロ・イ・モイの2009年作『Causers Of This』(Carpark)、パンダ・ベアの2004年作『Young Prayer』、アリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティの2004年作『The Doldrums』、ブラック・ダイスの2007年作『Load Blown』、エイヴィ・テア&クリア・ブレッカンの2007年作『Pullhair Rubeye』、リングスの2008年作『Black Habit』(すべてPaw Tracks)
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