The Changing Same――(5)
JEFF HENDRICK 『Color Blind』 Bout Time(2010)
日本で異例の評判を呼んだ前作『Soul Celebration』から4年、燻し銀の歌声が素晴らしいカナダ産シンガーの3作目。“So Sick”的な歌謡性を優先した昨今の〈美メロ〉系とは似て非なる、歌声の醸し出すヴァイブとグルーヴィーな演奏そのものがメロディアスだという仕上がりが素敵すぎる。黄金期のクレイグ・デヴィッドを想起させる傑作だ。*出嶌
SHAY 『All I Want』 avex trax(2010)
もともとシンジケートなるグループの一員だったUKシンガーのシェイ。このソロ・デビュー作でプロデュースを託したスティーヴィー・ホアンとはグループ時代に出会っていたという。ピアノやハープ、ギターなどによる綺麗なリフ使いやメロディーはやはり高水準で、ジェイムス・ブラント“You're Beautiful”のデュエット・カヴァーも流石の出来。*池谷
CARMEN LIANA 『Who I Am』 HIP HOP TV JAPAN/BBQ(2010)
キース・スウェットやドゥルー・ヒルの近作に関わったワーリー・モリスが手掛けるアトランタ出身の新人。“Talking Applications”が全米チャートで好アクションを記録したそうで、その原曲をimarinやDJ KENZOOら日本勢がリミックスしたものも良い出来。それぞれ90年代R&B風や爽快ハウスなど耳馴染みの良い仕上がりだ。*池谷
KEANA 『Still In A Dream』 ワーナー(2010)
モデルや女優として活動もするルックスの大人びた16歳のデビュー作。某ニキビ薬のCMソングをポップR&Bに仕立てたプロの手捌きとアクティヴに歌う姿が麗しい“Lucky Color”など芸能チックな仕掛けも込みのアルバムだが、女の子が煌めく一瞬を切り取って永遠のものにするティーン・ポップの見本のような内容には素直に感動。*池谷
STEELO 『Music』 Steelo/Pヴァイン(2010)
フィンガズのコンピで開陳された“Let It Roll”で甘味ファンに愛されたシンガー+ラッパー・コンビの初作が、ジャケを新装して日本盤化。後見人のフィンガズがそのまま全面バックアップにあたり、情熱的なアップから得意のメロウまでを自在に披露している。どうやっても滲み出るチカーノ作品特有の青臭い哀愁がやはりたまらなく魅力的だ。*出嶌
LEGACI 『[Little] Black-Book』 Kamikaze(2006)
ジャスティン・ビーバーをカヴァーした動画が本人の目に留まり、ツアー・サポートに抜擢されたベイエリアのアジア系ヴォーカル・カルテット。そんな経緯もあって再リリースされたデビュー作がこちら。木目細かく清涼感あるコーラス・ワークが確かな実力を示す。ボーイズ・グループ的なアップナンバーも映える隠れた良作だ。*池谷
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