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特集

The Changing Same――(3)

 

MARQUES HOUSTON 『Mattress Music』 Music Works/T.U.G./EMI(2010)

お子様アイドルからアーバン若頭、『Veteran』、そして『Mr. Houston』へ……と大人の階段を昇って辿り着いた新作は〈マットレス音楽〉。文字にするとマヌケだが……中身はトレイ・ソングズに匹敵する閨房楽曲集だ。焦らしながらヌメヌメと横溢するエロティシズムの濃密さに、爽やかアーバン慣れした人なら腰が抜けるかも。*出嶌

GERALD LEVERT 『The Best Of Gerald Levert』 Atlantic(2010)

2006年の急逝から、2枚の遺作を経て届けられた最後(?)のプレゼント。リヴァート時代の“Casanova”からソロの代表曲、父エディとのデュエット、LSGまで駆け足で彼のキャリアを追体験できる。結びには2003年録音の未発表曲“Can It Stay”も収録。アーバンとかR&Bとか記号の森で迷子になったら、とりあえずこれを道しるべに。*出嶌

KEITH SWEAT 『Ridin' Solo』 Kedar(2010)

ジニュワインやドゥルー・ヒルらも獲得して何かと快調なキダーからの最新作。前作『Just Me』にて“Suga Suga Suga”を手掛けていたワーリー・モリスがほぼ全編を共同でハンドリングし、伝統芸の域に達した毎度のキース節を懐古趣味や形骸化に陥らないスマートな作りへと上手く導いている。カット・クロース再編にどう関わるのかも興味深い。*出嶌

R. KELLY 『Untitled』 Jive(2009)

この号が出る頃には〈きれいなケリーさん〉を集めた変則的な新作『Epic』もリリース済みのはずだが、アーバン然とした猥雑さを全面に行き渡らせたR節が楽しめるのは当然こちら。変速フロウでスムースに迫る逸曲“Number One”などのシンギン・ラップから、ドリームへの回答っぽい変態エコー歌謡、絶頂ディスコまで何でもあり。何度聴いても天才だ。*出嶌

THE-DREAM 『Love King』 Radio Killa/Def Jam(2010)

R&Bをポップ市場に導きつつ、斬新な発想と黒人音楽の遺産への敬意をもって〈変わりゆく変わらぬもの〉を体現する夢男の3作目。LOS・ダ・マイストロとの共同作業が増えた今作でもプリンスやR・ケリーへの偏愛ぶりは変わらず、80年代風のシンセと一体になって歌いながらステッパーズまでやってのける。その懐の深さに感服。*林

TQ 『Kind Of Blue』 The HUB Muzic(2010)

歌とラップの間を行く歌い口で魅了するシンガーといえば彼が元祖。哀愁と清涼味を兼ね備えたメロディーメイクはこの6作目でも健在で、“Westside”に続く清澄な地元讃歌“Hollywood”やアコギで歌うスロウなど、アレンジは相当多彩だ。もともとユーロ・ポップ方面でも成功を収めていた人だけに、エレクトロ系の導入も堂に入っている。*出嶌

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2010年09月22日 17:59

ソース: bounce 325号 (2010年9月25日発行)

ディスクガイド/池谷昌之、出嶌孝次、林 剛

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