Wishin' On A Star
日本から世界水準を狙うSTAR BASE
主にアフリカン・アメリカンによって更新されてきたアーバン・ミュージックも、その発展に伴ってクロスオーヴァーを繰り広げるようになり、逆にヨーロッパやアジア各地からは非黒人も多く含むアーティストたちがその方向性に乗り入れることでシーンに多様性をもたらしてきた。そうした動きは、Manhattanにフックアップされたスティーヴィー・ホアンが〈R&B界の口コミ王子〉というやや懐かしい呼称と共に大ブレイクを果たした2008年頃から日本でも大きくなっていった。その頃に勢いのあったMySpaceも手伝って未開の才能たちに日本のレーベルがアクセスしやすくなったのだ。Manhattanは以降もティム・ベンソンやラティーフ、タジ・ジャクソンらをフックアップしていき、メジャー・レーベルもその動きに追随していくようになる。こうした流れのなかで台頭してきたのがSTAR BASEである。
2008年1月に設立されたこのレーベルのコンセプトは〈日本から世界へ〉。USやUKのメジャーがまだ手を付けていないアーティストをいち早く発掘して、日本のR&Bリスナーに紹介し、やがて世界に届けるというその理念は、最初のリリースとなったジャッキー・ボーイズにて果たされている。無名のソングライターだった彼らも現在はフロウ・ライダーやシュガベイブスの楽曲を手掛けて売れっ子チームへと成長したのだ。
今年に入ってからのSTAR BASEはコンスタントにフレッシュな顔ぶれを送り出しながら、常に次の一手を模索している。今回登場したイーシャンにしてもタニア・クリストファーの作品にフィーチャーされていたし、それに続く新人としてはブライアン・マイケル・コックスらの手掛けるジャミリオン(本当に注目!)がすでにスタンバイ済みだという。驚きのカヴァーやコラボなどの仕掛けも躊躇なく織り交ぜて、ポップであることを恐れずに折々のマーケットを賑わせてくれる、このグッド・ミュージック集団には今後も注目なのだ。
▼関連盤を紹介。
左から、ジャッキー・ボーイズの2009年作『Love And Beyond』(STAR BASE)
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