目覚めるまでのジョン、目覚めてからのジョン
プロデューサー/ソングライターとしても活躍するジョン・レジェンドだが、近年はフィーチャリング・シンガーとしても人気で、リック・ロスのヒット“Magnificent”を代表例に、T.I.の“Slide Show”やDJキャレドの“Victory”などラッパーに歌を求められる機会はやはり多い。また、MSTRKRFTの“Heartbreaker”など畑違いのコラボも多くなっている。そのなかで今回のカヴァー盤に直結しそうなのは……単にリズム&ブルースのカヴァーという意味ならジェイムズ&ボビー・ピューリファイの“I'm Your Puppet”を歌ったサントラ『Soul Men』も思い出されるが、〈Wake Up!〉感を強く感じさせるのはやはり、オバマ大統領候補(当時)を支援した『Yes We Can: Voices Of A Grassroots Movement』ということになろう。ここでジョンはU2がマーティン・ルーサー・キングについて歌った“Pride(In The Name Of Love)”をカヴァーしている。その延長線上で捉えられるのが、アンジェリーク・キジョーの最新作で披露したカーティス・メイフィールド“Move On Up”か(南アフリカW杯コンピにも再収録)。なお、ハービー・ハンコックの最新作ではピンクとのコラボでピーター・ガブリエルの“Don't Give Up”を歌っているジョンだが、こうして見ると自然とボノばりにユニヴァーサルな立ち位置を獲得しつつあるのが凄い。
▼ジョン・レジェンドの参加作品。
左から、リック・ロスの2009年作『Deeper Than Rap』(Maybach Music/Def Jam)、DJキャレドの2010年作『Victory』(Terror Squad/E1)、MSTRKRFTの2009年作『Fist Of God』(Last Gang/Downtown)、2008年のコンピ『Yes We Can: Voices Of A Grassroots Movement』(Hidden Beach)、2008年のサントラ『Soul Men』(Stax/Concord)、アンジェリーク・キジョーの2010年作『Oyo』(Razor & Tie)、ハービー・ハンコックの2010年作『The Imagine Project』(Hancock/Sony)
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