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特集

現代に息吹くカヴァー~オマージュ・ソウルの数々

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2010年09月22日 17:59

ソース: bounce 325号 (2010年9月25日発行)

文/林 剛

 

カヴァー集は数あれど、楽曲に心底惚れ込んで歌い、現在のシーンにアピールし得る作品は数少ない。今回発表されたジョンとルーツの『Wake Up!』はその数少ない作品のひとつと言えるが、そうしたものはカヴァーを通して演じ手の本質がキチンと伝わってくるものだ。例えばリーラ・ジェイムズの『Let's Do It Again』は、ソウルネスにこだわり続ける彼女が、その影響源である名曲を歌った力作。ファンクのスピリットを持つ彼女らしくJBやブーツィ・コリンズを取り上げているのも納得がいく。同作を出したシャナキー盤では、カルヴァン・リチャードソンのボビー・ウォマック・カヴァー集『Facts Of Life: The Soul Of Bobby Womack』も同じく強力。99年のデビュー作『Country Boy』でもボビーの曲を取り上げていたシャウト・ヴォイスの歌い手によるカヴァーは、そのすべてに愛が感じられる。

一方、カヴァー以上にクラシック・ソウルに対する愛が滲み出るのが、先達の名曲を換骨奪胎したようなオマージュ作品だ。とりわけラファエル・サディークの『The Way I See It』は、〈ソウルの息子〉を謳っていた彼らしいこだわりで60年代モータウンやスタックスの躍動感を再現。また、ラファエルと同様のアプローチで自身も60sのシンガーになりきった仏人シンガー、ベン・ロンクル・ソウルの『Ben L'oncle Soul』、ラティモア曲をカヴァーしてハイ・サウンドへの憧憬も見せたリヴェレーションズとトレ・ウィリアムズの『The Bleeding Edge』も説得力のあるオマージュ盤だった。さらに、デトロイト・ソウルやスウィート・ソウルへの偏愛ぶりを見せるメイヤー・ホーソーンの『A Strange Arrangement』、トゥルース&ソウルの面々を従えて70年前後のソウル〜ファンク感覚を滲ませたアロー・ブラックの新作『Good Things』といったストーンズ・スロウ発の2作は、ヒップホップ目線でソウルを解釈し、ロウな音で仕上げたという点で『Wake Up!』と共鳴し合う作品と言えるだろう。

 

▼関連盤を紹介。

左から、リーラ・ジェイムズの2009年作『Let's Do It Again』、カルヴァン・リチャードソンの2009年作『Facts Of Life: The Soul Of Bobby Womack』(共にShanachie)、ラファエル・サディークの2008年作『The Way I See It』(Columbia)、ベン・ロンクル・ソウルの2010年作『Ben L'oncle Soul』(Motown France)、アロー・ブラックのニュー・アルバム『Good Things』(Stones Throw)

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