INTERVIEW(1)――消費していったらあかん
ただ目立ちたいだけでも、ただガムシャラにフリーキーでデストロイなわけでもない。ただミドリたり得る音楽を誠実に奏でることで行き着いた新世界に、あなたも
消費していったらあかん
「2年って、そんなに長いこと空いとるって感じられるんですか? わし、今回はまだええペースかなって」(小銭喜剛、ドラムス)。
「みんな、はよう出しすぎなだけやろ? そんな、消費していったらあかんと思う」(後藤まりこ、ギター/ヴォーカル)。
人それぞれではあるだろう。けれど、その〈消費したらあかん〉という言葉には音楽を世に送り出すという行為において、聴き手に対しての、そして作り手である自身に対しての責任感と誠実さが込められている。2年ぶりとなるミドリのニュー・アルバム『shinsekai』。音楽家たらんとする4人がみずからの音楽性を全方位へ開放した先に、その表現のために持てる能力を大きく解放した先に、アヴァンとポップが入り乱れる強烈な音によって聴き手の理性が崩壊した先に、その果てに訪れる感情の揺れをしっかりと抱懐した先に生々しく広がる新世界。優しさとは、暴力とは、衝動とは、抑制とは、美とは、醜とは、マスとは、コアとは――それらすべてを内包した混沌を本能的な理論で鳴らしたポピュラー・ミュージック。そんな楽曲だけが揃った全10曲である。
「好きなアルバムが出来ました。CD出すごとに〈あ、またちょっと雰囲気変わったかなあ〉とか、そんなふうに思ってますけど今回もやっぱそれ思って。またちょっと開けた感じやなあと思います」(小銭)。
「(本作には)成長とか、そういう言葉があてはまるかなって思います。音楽的なことについてなら用語とか、あと(機材の)接続の仕方とか、僕よくわかってなかったんですけど見てたら覚えて録音の仕方の意味がようやくわかった。音作りの方法とかそういうとこのスキルで言ったら上がったと思います。あとメンタル面では、えーと……明るくなった(笑)」(後藤)。
「あんまり急がずに出さなくて良かったっていうか。個人的に、フレーズが出来たのはギリギリだったんですけども、その間にやりたいことをちゃんと弾ける演奏技術のアップが少しあったので」(ハジメ、キーボード)。
「たぶんカラーの違う曲が多いんで、聴いてて飽きないアルバムになったなって思います。前回は(バンドに)入ったばっかですぐレコーディングだったっていうのもあって、もうよくわからず〈うぉー!〉みたいな勢い(笑)。でも今回は、余裕はなかったけど僕的には結構練れたって感じなんで、それが良かったですね」(岩見のとっつあん、ベース)。
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