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INTERVIEW(3)――トップランナーから〈抜擢〉まで

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2010年04月28日 18:00

更新: 2010年04月28日 18:02

ソース: bounce 320号 (2010年4月25日発行)

インタヴュー・文/池谷修一

 

トップランナーから〈抜擢〉まで

 

──その痛快な感じ、よくわかります! 生音のジャズが巨大な音でフロアに鳴り響く様はこたえられないものがありますよね。では各論なんですが、選曲について伺います。今回選ばれたなかで、須永さん的にまずこれを入れておこう、という外せないアーティストはいたんでしょうか?

「EGO-WRAPPIN'とSOIL&“PIMP”SESSIONSは象徴的ですからねぇ。ただしEGO-WRAPPIN'は、〈自分たちはジャズでもなんでもない〉と言ってますけれど。僕が勝手にジャズの仲間に入れているだけなので(笑)。quasimodeもそうですけれど、トップランナーとしてそれぞれを収録しました。すると必然的にその他も決まってきますよね」

──バラエティーも豊かですよね。レゲエっぽかったり、ヒップホップの匂いがする曲もある。

「indigo jam unit の“Dooinit”は、コモンが残してきたアカペラのトラックをバックに、生演奏で再構築した音をつけている。コモンの声をミニ・アルバム全部に使った作品からの収録ですね。実は新曲を頼んだんだけれどドラマーがいまNYで武者修行中なんですよ。なので、この曲になりましたね」

──新録は全部で6曲ありますが、このなかでニュ−カマーの作品というと?

「カルメラというバンドがいます。彼らは唯一、〈抜擢〉という印象なのですが。大阪・梅田のNoonでやっている自分のレギュラー・パーティー〈World Standard West〉があります。そこで、いま早い時間に張り付いてライヴをやってもらっている、ストリート出身の大所帯のジャズ・バンドなんです。カルメラについては大阪に行ってレコーディングに立ち会いました。心を鬼にして叱咤したお陰ってわけじゃないけれど、うまくまとまりましたね。何よりも曲が良かったですし」

須永辰緒_A

──須永さん自身の曲もありますね。

「“A Kite”ですね。これは昨年12月に出た Sunaga t Experienceの新作からの1曲を収録させてもらいました。サックスとトランペットの2管編成で、ファイヴ・コーナーズ・クインテットのユッカ・エスコラとティモ・ラッシーが参加してくれています。フィンランドにいる彼らとデータのやり取りをして作った曲です」

──酒や煙草が似合うクールガイなアーティストいう、このアルバムのイメージを引っ張る人たちというと?

「THE SAX NIGHTですね。彼らのジャケットを見て、〈もうこの人たちしかいない!〉とピンときました(笑)。彼らはまさにザ・ロカッツですよ。ライヴではみんなツナギに革ジャンでキメてますしね。そして、勝手にしやがれ、Bloodest Saxophone、ですね」

──まさにロックンロール的ジャズ。スウィンギンな男の粋といいましょうか。ところで、cro-magnonも、ロックな味がすごくある人たちですよね。

「僕はロック以外の何者でないと思ってますよ。彼らはむちゃくちゃ確信犯、かっこ良いです。“Feelin’”という曲については、期せずして完璧なイメージの曲が出来てきた。心地良いループで、昂揚した気分をクールダウンさせつつ〈次〉に期待を抱かせてくれる曲って、探すのも難しいし、作るのはもっと難しい。こういうコンピには必ずこういう音が必要なんです。彼らはマイケル・ジャクソンのカヴァーもしているぐらいで、なんでもできる人たちなんですね。 “Feelin’”ではレア・グルーヴの初期に聴かれていたジャズって、こんなんだろうなあと。それに2010年型のクラブ・ミュージックの肝を加味すると、こういう演奏になるんだろうなと思います。センスの塊です彼らは。まあ、見てくれは悪いですが(笑)」

──しかし無骨なロック・バンドには、しっかりものの、違いのわかる女の子のファンがついてたりするもんですよね(笑)。そこはquasimodeやJABBERLOOPとは違うところかも?

「ハハハ。見てくれが悪いっていうのは、いい意味なんですよ。彼らには〈鉄アレイ〉を感じますね。口下手な職人って感じで、そういうの、僕は大好きなんですよ」

──では話にも出たJABBERLOOPなのですが。

「収録曲は“TIME PARADOX”です。僕は彼らには、さらに剥けてほしいという期待があって選びました。この〈外伝〉のなかで、他の顔ぶれと並べていくとどうなるかな、というのがあったんです。ターンテーブルの人が抜けたこともあって、サウンドの本質に目覚めてきたのか、変わってきていますね。ライヴをこの間観たんですが、すごく良かったですよ」

──いまの須永さんにもっとも近いところにいる人たちといえば、TRI4THですか?

「彼らはこの2年間、自分が育てているバンドなんです。今度出る彼らのアルバムも僕がプロデュースしているんですが、それも世に問えるものになっています。身内贔屓ですが(笑)。TRI4THはついこの間まで小西康陽さんが音楽監督をして三谷幸喜さんが脚本を手掛けたブロードウェイミュージカル〈TALK LIKE SINGING〉で、ずっとレギュラー・バンドとして演奏していましたね」

──ラストは“人が夢を見るといふ事~Black Skyline~vocal remix by Sunaga t experience/ PE’Z”で美しく締め括っていますね。

「1曲はヴォーカルものを入れたいというのもありました。アルバムのかたちとしてそれがいいのかなあと。それとこの曲、すごく好きなんです。PE’Zって、いまのようにクラブ・ジャズと言われるものが出来上がる前から、そういうシーンを牽引したバンドじゃないですか。そういうオマージュというか、リスペクトを込めてみたんですよね」

 

▼参加アーティストの作品を紹介(その1)

インタビュー