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特集

ジャズの人、だけじゃない須永辰緒のキャリアをちょっとおさらい!

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2010年04月28日 18:00

更新: 2010年04月28日 18:02

ソース: bounce 320号 (2010年4月25日発行)

文/池谷修一

 

ジャズの人、だけじゃない須永辰緒のキャリアをちょっとおさらい!

 

ジャズDJの第一人者として絶大な求心力を持つ須永辰緒だが、ジャズへの開眼は意外にもそんなに過去のことではない。DJとしての始まりはヒップホップだ。パ ブリック・エナミーやビースティ・ボーイズが大好きだったその志向性は、パンク少年だったかつての須永に繋がる。新宿のツバキハウスを最初の拠点に80年 代から続くパーティー、〈LONDON NITE〉(定期開催は昨年終了)。彼の原点はここだ。パンクを芯にオールジャンルの音が渦巻く伝説のロックDJパーティーの勢いと男気溢れるスピリッ ツ。それがヒップホップDJとしてスタートした須永のキャリアに連動する。その後ミロスガレージなどを拠点に、DJ DOC. HOLIDAY名義で暴れていた頃の音は現在入手困難だが、〈YouTube〉などで探してみるのもおもしろいだろう。またリミキサー/サウンドメイカー としては高木完や藤原ヒロシによるレーベル=MAJOR FORCE関連の音作りから始まり、いままでに150を越える楽曲に刻印を残している。

さてジャズと須永の出会いのことだ。92年、彼が渋谷に小バコのクラブ〈オルガン・バー〉をスタートさせ た当初は、まだまだジャズにはのめり込んでいなかったという。しかしヒップホップに飽きていた当時の須永は、レアグルーヴ、ソウルなセンスに溢れたロッ ク、AORなどを経て次第にジャズに惹かれ、やがてジャズで踊らせることの難しさと深みにどっぷりとハマって行く。そうして深夜3時のオルガン・バーで汗 だくでジャズに踊り興じる男どもに感動し、ライフワーク的コンピ・シリーズ〈夜ジャズ〉を発動。これまでに8枚を送り出している。旧譜の掘り起こしを通じ て王道のジャズ好きとコアなクラブ・リスナーを共に納得させようとするシリーズ新作『夜ジャズ・外伝~All the young dudes~すべての若き野郎ども』は〈番外編〉という位置付けで、生演奏によっていまのクラブ・ジャズ界を切り拓く若き才能(Bloode-st Saxophone、TRI4TH、THE SAX NIGHT、カルメラなど)をフックアップ。須永いわく、ここに鳴り響くジャズには何より〈初期衝動〉がなせる本物の瑞々しさあるという。いわばパンクな スピリッツがビシビシと突き刺さる、今様の活きの良いジャズがひしめいているのだ。一方、ジャンルレスな選曲で〈ジャズ〉を聴かせるミックスCDシリーズ 〈World Standard.〉もすでに8枚を数え、ソロ・ユニット=Sunaga t Experienceではアルバム4枚を発表。常にジャズを多角的に、プログレッシヴに深堀りする姿勢は、ジャンルを越えて国内外からディープなリスペク トを集める。海外を含むタフ極まりないDJ行脚や招へい活動も意欲的で、ここから広がる交遊関係の多彩さもまさに〈レコード番長〉の面目躍如、以下で紹介 する彼の幅広い繋がりを知るのも興味深いだろう。

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、『須永辰緒の夜ジャズ~Jazz Allnighters~No.8キング編』(キング)、『World Standard.08 -A Tatsuo Sunaga Live Mix-』(flower)

 

▼Sunaga t Experienceの作品を一部紹介。

左から、2006年作『A Letter From Allnighters』(flower)、2009年作『JAZZ et JAZZ』(ジェネオン・ユニバーサル)

インタビュー