亜空間へ飛び出すディスク・ガイド―(1)
ERIK RICO『Journey Back To Me -Japan Selection-』 CCRE(2010)
新作における“Everybody”にて彼を起用したgrooveman Spotも「スティーヴィー・ワンダーのような温かいメロディーとジョニー・ギルのようにジワジワくるファンクネスを感じた」というエリック・リコ。トラックメイカーを起点にシンガーとしても名を上げた、アンプ・フィドラーやランドルフの系統に並べたい才人。この日本編集盤もあるうちにチェックを。
MUHSINAH『Pre.lude』 CIRCULATIONS(2008)
このムスィーナーをフィーチャーした“Down To You”に関しては「彼女は天才。いちばん早く完成した曲です。彼女のソロ作はエレクトリックでディープなイメージですが、僕はもっと彼女にスムースな曲をイメージしました。歌、コーラス、ラップまで。とにかくドギモを抜かれました」とのこと。ウェイナらDCのロウ・バジェット人脈のサポートを得て、闊達な個性を聴かせる本作も必聴だ。
KISSEY ASPLUND『Plethora』 R2(2008)
Michitaの“On Your Shoulder”やKenichiro Nishiharaの“Life”に客演するなど、日本からのラヴコールが多いスウェーデンはマルメのシンガー。“Happy”に彼女を抜擢したgrooveman Spotの狙いは「シンプルなビートの上で自由に歌ってほしくてオファーしました」ということで、このアルバムでも聴けるエリカ・バドゥ系のジャジーな個性とはまた異なる幸せな揺らめきが堪能できることに。
DJ Mitsu the Beats『A WORD TO THE WISE』 PLANETGROOVE(2008)
相互に刺激を与え、受けてきたgrooveman SpotとMitsu the Beats。一足先に出た彼のセカンド・ソロ作は、ジョージア・アン・マルドロウやホセ・ジェイムズらのクロスオーヴァーな人気者をフィーチャーしながらも、よりストリクトリーなヒップホップらしさをその枠のなかであえて追求してみせたような雰囲気が漂う。今後もふたりには競り合ってほしいもんである。
Tettory Bad『UNITE』 トイズファクトリー(2008)
Jazzy SportクルーのTettoryBLK(Masaya Fantasistaとgrooveman Spotのコンビ)が、ジャイルズ・ピーターソンらの賞賛を浴びて日本でもヒットを飛ばしたシンバッドと合体した、即席なれど美味なるトリオのアルバム。男らしい粋さを備えた漆黒のグルーヴに、B-BANDJや有坂美香、ランドルフ、そしてUKのタイらのゲストがしっくり絡んでいる。この続きはあるのか?
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