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LONG REVIEW――UNCHAIN “The World Is Yours” fluctus

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これはいい! UNCHAIN風のソウル回帰とも言える2009年作『Music Is The Key』も素晴らしかったが、その先への振り切れぶりがとんでもないことになっている。彼らの持ち味であるソフィスティケイトされたプロダクションはそのままに、止まることなく突っ走る初期衝動。“Gravity”に続く約3か月ぶりの6曲入りシングル“The World Is Yours”は、変拍子を内包しながらパワフルに躍動するリズム隊、急くように戯れる2本のギター・リフ、常にも増してエネルギッシュなハイトーン・ヴォイス――と、冒頭から昂揚感を煽られまくりの表題曲をはじめ、彼らの原点であるパンク魂があられもなく炸裂。“strain”をその極北として、ほぼすべての楽曲でアグレッシヴな攻撃性が前面に出ているが、その一方で、どんなにパンキッシュなアレンジであろうとも、UNCHAIN以外の何者でもない〈グルーヴ・ロックの進化形〉に仕上がっていることにも驚きだ。彼らは自己流のパンク・ミュージックを提示すると同時に、ソングライターの谷川が志向する黒いグルーヴが自身の揺るぎないアイデンティティーとして刻まれていることをはっきりと証明してみせている。

また、ほんのり電子音をまぶしたREACH“TAKES ME BACK”のエモーショナルなカヴァーも秀逸であることに加え、そもそもここでREACHをセレクトしてきたこともバンドの現在地を知るうえで非常に興味深い。春に登場するサード・アルバムの入り口となる本作だが、扉の向こう側にはまぎれもない新世界が広がっていると断言したくなる一枚だ。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2010年01月20日 18:03

更新: 2010年01月27日 18:02

文/土田真弓

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