J-POP STANDARD
上質なオトナのポップスが充実
Perfumeが先導したエレクトロニックなガール・ポップの快進撃も一段落した2009年は、全体的には洗練されて上質な、生音志向のアルバムが充実していた一年。バンドを解散して初の作品となったハナレグミや次松大助、グループとは別でソロ活動を開始した持田香織などがこれまでのイメージとは違うヴェクトルで良作を発表し、新たなリスナーを獲得していたのも印象的だった。また、今度は□□□に加入したいとうせいこうの音楽活動における動向も気になる。
EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX
『EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX』 トイズファクトリー
かねてからのサポート・バンドを表記に加え、自由果敢に音楽性をバーストさせた2年半ぶりの作品。わりと近いルーツを共有するであろう椎名林檎の6年ぶりのソロ作共々、格の違いを見せつけた。*久保田
Saori@destiny
『WOW WAR TECHNO』 D-topia
一過性じゃない才能を90年代J-Pop的な大量消費型の下世話さで包み込んだ、ギザギザハートのエレクトロ……というかハイエナジー・ポップの現在形。クリアな歌声で吐き出される内向きな詞の美しさもそこに掻き傷を付けるアレンジも相変わらず最高でした。*出嶌
高橋幸宏
『Page By Page』 EMI Music Japan
ラリ・プナやアミーナ、アトム・ハート、スティーヴ・ジャンセンにコーネリアと、世界各地からゲストを招集。pupaで追求した〈バンド・サウンドとエレクトロニカの融合〉をより洗練させた新たな傑作を仕上げた。歩みを止めずにますます磨きをかけるヴェテラン力が凄い。*川島
LEO今井
『LASER RAIN』 EMI Music Japan
これまで80'sテイストを感じさせるエレクトロニックなアレンジが印象的だったが、今回は2010年代のサウンド=〈10's Music〉をコンセプトに音楽性はますます進化。ヒップホップやハウスなど、さまざまな要素を採り入れたオルタナティヴなシティー・ポップでわが道を行く。*川島
松任谷由実
『そしてもう一度夢見るだろう』 EMI Music Japan
約3年空いたこともあって、ユーミンの音楽が持つ普遍性を改めて実感したというか……。〈旅〉をテーマにした本作で〈あの日にかえった〉わけではないけれど、どことなく懐かしいタッチで描写された楽曲も。トノバンとの最初で最後のデュエットも切なく。*久保田