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特集

さまざまなエッセンスを折衷した黒さ

いわゆるクラブ・ジャズ的なクロスオーヴァー作品もありつつ、2009年は主にヒップホップをベースにしたエクレクティックでソウルフルな作品が豊作だったように思う。ブギー、ビートダウン、J・ディラ、ディスコ・ダブ、コズミック、ファンク、マイルズ・ベンジマン、ネオ・ソウル、ムーディーマン、メロウ・ループ……こんなキーワードのいくつかにピンと来たら、ここに並べた作品の美しいグルーヴにぜひ触れてみてほしい。

PPP
『Abundance』
 Ubiquity
プラティナム・パイド・パイパーズからPPPに改名してのセカンド・アルバムは、モータウン・サウンドのリコンストラクションに挑んだ地元愛溢れる意欲作。昨今のヴィンテージ・ソウル・ブームを踏まえながらも、あくまでフューチャリスティックな音像に仕立てたワジードの手腕が素晴しい。*高橋

DJ Mitsu the Beats
『A WORD TO THE WISE』
 PLANETGROOVE
世界が待ち焦がれたソロ2作目。黄金のセンスに導かれてグッド・ヴァイブを紡ぎ出すのが、下掲のカーネル・レッドやDC人脈、ホセ・ジェイムズらだという人選も今日的だった。2009年といえばGAGLEの力作『SLOW BUT STEADY』もお忘れなく。*出嶌

SHAFIQ HUSAYN
『En' A-Free-Ka』
 Rapster/!K7 
サー・ラーが大作『Nuclear Evolution, The Age Of Love』を発表した年に、メンバーのシャフィークもソロを残した。スピリチュアルな音像を作り出す様はグループの時と同様だが、ここではアフロビートとサイケをドロドロに溶解して濃ゆすぎる宇宙へ案内してくれた。*出嶌

COLONEL RED
『Sweet Liberation』
 Ruff Language 
10数年ものキャリアを誇るウェスト・ロンドンきってのソウル・シンガーによる2作目。奇を衒わないシンプルで重厚なトラックに、沁みる歌声がとても気持ちいい。客演仕事の多いイメージだが、これからもこんな安心して聴ける作品を残してほしい。*櫻井

thirdiq
『who may find love in the imaginary axis』
 origami 
前年のShingo Suzukiや45、mabanuaの活躍を受けて、高いミュージシャンシップに裏打ちされたorigami発の作品がおしなべて好評を得たのも2009年のトピックだろう。この渥美幸裕の作品もトロトロに溶けそうな黒いメロウネスを届けてくれた名作だ。*出嶌

TRUS'ME
『In The Red』
 Fat City 
〈ビートダウン〉というキーワードがこれまで以上に注目された2009年。マークEやリンクウッドなどの活躍も目立ったが、なんと言ってもこのトラスミーの2作目が痺れるほど素晴らしかった。本年度黒光り大賞のデイム・ファンクや本家のデトロイト勢も多数参加。*櫻井

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2010年01月13日 18:00

更新: 2010年01月13日 18:00

ソース: 『bounce』 317号(2009/12/25)

文/bounce編集部

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