K'JON
『I Get Around』 Up & Up/Universal Republic
派手さはないが真摯な歌心に溢れるシンガーで、インディー・ソウル通には知られた名前だったK・ジョン。彼が本作でメジャーに昇格し、しかも全米チャートで良い成績を残したことは、かの地のR&Bシーンに残る良心を感じさせる出来事だった。*池谷
LEDISI
『Turn Me Loose』 Verve
レックス・ライドアウトと組んでのメジャー・デビュー以降はジャジーで洒落たイメージを纏っていたが、本作ではインディー期の初作に見られたファンクネスがふたたび全開、いやむしろ増強された。濃密なエナジーが詰まった2009年最高のファンキー・レディー・ソウル盤だ。*池谷
MARIAH CAREY
『Memoirs Of An Inperfect Angel』 Island
2005年の復活以降は安定期に入っているマライア。トリッキー・スチュワート&ドリームと組んだ本作も見事な統一感を見せた傑作だった。ビヨンセとは違ったスタンスで時代のど真ん中に鎮座。〈まだ39歳よ!〉と若ぶるだけのことはある。*林
MARIO
『D.N.A.』 J
ここ最近、新たなビートの潮流の中心にいるションドレーが本作に提供したミニマルで中毒性の高い“Break Up”は、グッチ・メインの客演も光るまさにいまを象徴するサウンド。同曲をはじめ、これまでのマリオにはない斬新なイメージで成熟を感じさせた一枚だった。*池谷
AMERIE
『In Love & War』 Def Jam
デフ・ジャムに移籍してようやく出せた新作は、痛快なアップやヒップホップ・ソウルが満載の彼女らしいアルバムだった。リッチ・ハリソンとの再タッグに期待したくなるが、後半で魅せたスロウでの麗しい姿は、こんなエイメリーをもっと聴きたいとも思わせた。*池谷
RYAN LESLIE
『Transition』 Next Selection/Casablanca
年内に2作を出すワーカホリックぶりと、その完成度の高さに驚嘆。2枚とも傑作だが、アルバムとしての統一感はストーリー性のあるこの2作目のほうが上か? シンセの響きなどは極めてイマっぽいのに流行とは一線を画す独創性に唸らされる。*林
TAIO CRUZ
『Rokstarr』 Island
デビュー時は似ーヨな作風だったが、今作はダンス~エレクトロ系のトレンドを採り入れUKらしいポップさもまぶした内容だった。時流の乗りこなしぶりも凄いが、2010年のブレイク候補最右翼たるケシャとの共演をここですでに果たしているのだから、さらに唸らされる。*池谷