HIP HOP
流行の音にどこまで向き合うのか
前年に四天王と称されたうち、リック・ロスは新作で威信を保ったが、他の3人(リル・ウェイン、ヤング・ジーズィ、T.I.)はアルバムという意味での動きはなし。それもあってか、飛躍を期待されていたキッド・カディ、アッシャー・ロス、ドレイク、ワレイらのフレッシュメンが大きな話題を呼んだ。また、オートチューンやリングトーンに死を告げたジェイ・Zの問題提起は個々に多様性を促すという意味でジワジワと効いてくるのかも。そして『The Detox』はまたも出ず!
COMMON
『Universal Mind Control』 G.O.O.D./Geffen
盟友カニエ・ウェストからの影響と思しき昨今のエレクトロ人気に強く触発され、それを大胆に採り入れた問題作。保守層からは反感があっただろうが、潔い振り切れ具合には賛辞も多数。大半をネプチューンズが手掛けたことも話題に。*升本
FLO RIDA
『R.O.O.T.S.』 Poe Boy/Atlantic
デッド・オア・アライヴを確信犯的にネタ使いした“Right Round”を大ヒットさせ、一発屋視するヘイターを黙らせた2作目。ニーヨやエイコン、ウィル・アイ・アムらを招いた盤石の布陣でシングル・ヒットも連発し、2009年を代表するパーティー・アルバムとなった。*升本
JADAKISS
『The Last Kiss』 D-Block/Ruff Ryders/Roc-A-Fella/Def Jam
ラフ・ライダーズのリユニオンを促した5年ぶりのソロ作は、ナズやリル・ウェインら20名以上のゲストを招いた豪華盤。ダンスフロアをハンドクラップで埋め尽くした“Who's Real”は2009年屈指のクラブ・バンガーに。*高橋
K'NAAN
『Troubadour』 Octone/A&M
古今東西の音がゴッタ煮を極めると同時に、個々のルーツもグッと多様化した2009年のヒップホップ。ソマリア出身/カナダ在住の彼は、故郷の音楽をベースにした雄大なスタイルで高い評価を集めた。ここに収録の“Wavin' Flag”こそが2010年ワールドカップの公式アンセムですよ!! *出嶌
SPEECH DEBELLE
『Speech Therapy』 Big Dada
2009年の〈マーキュリー・プライズ〉を獲得したことで俄然注目を集めるロンドン出身の才媛。シンプルなアコースティック・サウンドをバックに朴訥とした語り口で日々の生活を描写していく様は、さながらフォーク・シンガーのようでもある。*高橋
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