Discography――(1)
マイケルの音楽性を受け継ぐ者たち
NE-YO 『Because Of You』 Def Jam(2007)
譜面で再現できるメロディーメイクを得意としてきた彼は、デビュー時からそれらしい柔和な歌を聴かせていたが、この2作目の表題曲ではわざわざ〈ダッ〉などのアドリブを入れてまでMJへの憧れを表明している。本作を聴いたキング本人がスターゲイトに接近したのも当然だろう。*出嶌
田原俊彦 『Myこれ!クション 田原俊彦BEST』 ポニーキャニオン
同じ「ウエスト・サイド物語」をルーツに持つ日本のジャニーズとMJの縁は死後も続いているが、その影響を最初に発露したのが、日本のTVで最初にムーンウォークを披露したとされるトシちゃんだ。ここに収録の“ひとりぼっちにしないから”は一瞬“Thriller”だったり。*出嶌
USHER 『Here I Stand』 LaFace/Jive(2008)
少年シンガーとしてのデビュー時からMJを目標にしていたのは明白だが、愛くるしいキッズ感を踏襲するのではなく、最初から『Off The Wall』以降の姿を見据えてきたのだろう……と振り返ればよくわかる。そのガッツと才気で時代を掴んだ彼こそがMJの意気を継ぐ筆頭格だろう。*出嶌
OMARION 『21』 T.U.G./Epic(2006)
キッズ・グループから独り立ちして大成したという点でまず共通項があるオマリオン。ポスト・アッシャーの座を狙う先にはマイケルの姿もあったに違いない。ダンサーとしても絶大な支持を得るそのスキルに加え、本作の80年代風楽曲での歌唱に時折見せる柔和さがマイケル似でもある。*池谷
CHRIS BROWN 『Graffitti』 Jive/ソニー(2009)
MJ が〈才能があると思うフォロワー〉として名を挙げた2人のうちのひとり(もうひとりはジャスティン・ティンバーレイク)──そんな最上級のお墨付きを授かった彼も、最悪な事件を起こして立ち位置は微妙に。ただ、この新作はハイパー・ポップの高みを更新する名品なのでスルーは禁止だ。*出嶌
JUSTIN BIEBER 『My World』 Raymond Braun/School Boy/Island(2009)
アッシャーが契約に漕ぎ着けたカナダのティーン・シンガー。青さと甘さがギュッと滲み出すバブルガム作品ながら、歌の異常なウマさは多くの大人たちが認めるところだ。MJフォロワー的な視点では少し“You Are Not Alone”に似た“First Dance”が聴きモノ。*出嶌
JUSTIN TIMBERLAKE 『Justified』 Jive(2002)
ボーイズ・バンドのイン・シンクで登場し、アイドル視されながらも徐々に創造性を発揮しはじめ、決然と独立してさらなる成功を収めた……という経緯そのものが MJとかぶるジャスティン。黒い手袋を着けて決意を表明したこのソロ・デビュー作は、ネプチューンズなりのMJ意匠に溢れた名盤だ。*出嶌
NEW EDITION 『Gold』 Hip-O
すでにこの連載でも紹介しているラルフ・トレスヴァントとボビー・ブラウン、そしてジョニー・ギルとベル・ビヴ・デヴォーを輩出した〈80年代のジャクソン 5〉で、5+1名の全員が成長後も成功を収めた珍しいグループ。BETアワードにおけるMJの追悼パフォーマンスで久々に勢揃いしたのも記憶に新しい。*出嶌
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