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YOU ARE THERE(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2010年01月06日 18:00

ソース: 『bounce』 317号(2009/12/25)

文/林 剛

MJの域にもっとも近いのは……


  ジャスティンがそうであるように、ボーイズ・バンドとその出身者が、ほぼ例外なくMJの影響を受けているというのも定説である。そんなMJフォロワーの先駆けと言えるのが、〈80年代のJ5的〉なポジションを担ったニュー・エディション(NE)だ。NEの場合は、少年時代はアイドル的な人気を博したボビー・ブラウンがJ5におけるMJ役という感じだったが、ソロになってからだと、繊細で中性的な歌声をトレードマークとしたラルフ・トレスヴァントがMJにいちばん近い存在だろう。MJがペンを交えたロマンティックなバラード“Alright Now”をデビュー作で歌ったこともMJフォロワーとしての印象を強めた。

 NEの少し後、モータウンからはボーイズというキッズ(兄弟)グループも登場。彼らの場合はソロとしてMJの後を追った者は見当たらない。が、次男のハキーム・アブドゥルサマドは、MJのように少年時代からクリエイティヴな才能を発揮し、現在はエイコンの周辺で仕事をしていたりする。というわけで強引にエイコンに繋ぐと、彼はMJの(幻の)ニュー・アルバムに関わるなど晩年のMJと深い交流を図っていたひとりで、R&Bをクロスオーヴァーな方向へ導き、アフリカ的な要素を持ち込んだという点でMJとダブる。しかもエイコンが育ったセネガルは、MJがジャクソン5時代にツアーで訪れ、自身のルーツに開眼した土地。見えない糸で結ばれていたふたりなのだった。

 ボーイズ・バンドの話に戻すと、先にも触れたオマリオン(B2K)のほか、マーカス・ヒューストン(イマチュア~IMx)、ロイド(N・トゥーン)、故トニー・トンプソン(ハイ・ファイヴ)なども若き日のMJのように青く甘酸っぱいムードを持ったシンガーで、ティーンから成人へと成長を遂げるその過程はかつてのMJを連想させた。また、グループ出身者ではないながら、テヴィン・キャンベルもそんなひとり。クインシー・ジョーンズに見込まれた天才少年として“Tomorrow”を歌い、変声期を経て、セクシーで甘酸っぱい“Can We Talk”で大人の世界に半歩足を踏み入れた彼に青年期のMJを重ね合わせた人もいるだろう。日本では、MJフォロワーを自認する三浦大知が似たような歩みを見せている。

 さらに、カヴァーという点からMJフォロワーを突き止めていくと、“She's Out Of My Life”を歌ったジニュワイン、“Lady In My Life”を歌ったマーク・ネルソンやアルB・シュア!、“I Can't Help It”を歌ったジェシー・パウエル(MJと同じインディアナ州ゲイリー出身)といった、デリケートにして力強いテナー・ヴォイスを武器にしたR&Bジェントルマンの名前が挙がってきたりもする。が、どんなフォロワーよりもMJを身近に感じていた究極のMJフォロワーといえば、妹のジャネット・ジャクソンをおいて他にない。歌にダンスに容姿に……と語るのも野暮に思えるほど、目の前でMJの後を追ったのが彼女だった。そんなジャネットの影響下にあるシアラがMJを〈最大のアイドル〉と公言しているのもおもしろい。

 そして、ジャネットとはある種のライヴァル関係にありながら、存在の大きさや影響力などあらゆる点において、いまいちばんMJに近い存在といえば、ビヨンセだろう。R&Bとポップスを跨ぐ柔軟性、ヴォーカル/サウンド/ダンスの革新に挑み続ける姿勢、そのどれもがMJ譲りだ。先日リリースされたラスヴェガス公演の実況盤『I Am...Yours』では、モータウン時代のMJ曲“I Wanna Be Where You Are”を歌う前のMCで、MJから大きな影響を受けたことを改めてアピール。いまや大統領からお呼びがかかるビヨンセをも跪かせるMJには、やはり〈キング〉という称号が相応しかったのだ。

▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。

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