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LONG REVIEW―― 『どっちにしようかな』 Living Records Tokyo

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年12月16日 18:00

更新: 2009年12月16日 18:01

ソース: 『bounce』 317号(2009/12/25)

文/桑原 シロー



  心地良いサウンドの追求と、夢と希望に溢れた空想を形にしていくイマジナティヴな作業を接着させた羊毛とおはなのニュー・アルバム『どっちにしようかな』。バンド・セットで作られた2008年作『こんにちは。』でもそんな方向性は感じられたが、今回は参加ミュージシャンたちのイマジネーションも借りて絵本のような世界を構築しようとしたふたり。この夏にも、両者のギターと歌をメインにした〈LIVE IN LIVING〉シリーズの最新作に出会えたが、1年がかりで制作したという本作(オリジナルによる初フル・アルバム)は、〈旅〉がテーマ。インタールード的な“ハンモック”や終幕のインスト“帰り道”といった小品の存在により、トータル・アルバム的な性格が浮かび上がっているのもポイントだ。聴き手を遠くへ連れていきたい、という思いはいままでの作品からも感じ取れたものだが、今回は、聴き手といっしょにもっと遠くまで連れ立っていけるはず、といった自信のようなものが窺えたりも。“キーラの森”や“おやすみ。”など既発曲のバンド・ヴァージョンでは歌詞世界の景色を鮮明にするようなアレンジが成されていて、そういう印象がいっそう高まる。GIRA MUNDOが参加した躍動感溢れる“逢いにゆこう”、鈴木惣一郎が琥珀色の演奏を提供した“ただいま、おかえり”、そしてスタイリッシュな8ビートがいかにも冨田恵一らしい“手をつないで”(プロデュースは彼。作曲はコリーヌ・ベイリー・レイ)といった注目曲も作品のカラフル度を高めており、これまでになく充実した読後感を与えてくれる。さてと、今度の旅は、どこにしようかな。

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