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特集

ジャネットは究極のベスト盤をリリース!

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年12月09日 18:00

更新: 2010年01月25日 21:03

ソース: 『bounce』 316号(2009/11/25)

文・ディスクガイド/出嶌孝次

先日の〈VMA〉での、スクリーンに映る兄と“Scream”を疑似共演するというトリビュート・パフォーマンスが目に焼き付いているという人も多いだろう。そんな予期せざる注目から間を置かず、ジャネット・ジャクソンの2枚組ベスト盤『The Best』がリリースされた。ここでは86年作『Control』から昨年の『Discipline』まで8枚のアルバムから選りすぐられたヒット群に加え、件の“Scream”やハーブ・アルパートとの“Diamonds”、ルーサー・ヴァンドロスやバスタ・ライムズとのコラボ、そしてロドニー・ジャーキンス制作の新曲“Make Me”など、20年以上に渡る彼女のキャリアがひとまず総括されている。

思えば、彼女のキャリアには常にマイケルの存在があった。『Off The Wall』期のデモ音源や“P.Y.T.(Pretty Young Thing)”には彼女も参加していたが、セルフ・コントロールに目覚めるまでの彼女にとっては単純に仲の良い兄だっただろうし、ジャネット自身も音楽シーンのトップを担うひとりに昇り詰めてからは超えるべき目標や比較対象として常にマイケルの存在は意識せざるを得なかったはずだ。そんな歩みを辿るのに今回のベストは手っ取り早いガイドとなるし、同時にこれまでのオリジナル作もマイケルの軌跡と重ね合わせれば、また違う聴こえ方をすることだろう。そして、これからのジャネットにも注目したい!

『Dream Street』 A&M(1984)

まだ妹キャラだった頃のセカンド・アルバム。マーロンがプロデュースを担当してマイケルもコーラス参加した“Don't Stand Another Chance”など、楽しめる内容ながらも大化けする気配は皆無。この後の結婚と離婚が彼女に変化を促した。

『Control』 A&M(1986)

マイケル同様に父ジョーのコントロールを離れ、みずから手綱を握って作り上げた渾身の傑作。ソリッドなダンス・ビートに主眼を置いた攻めの姿勢を新進のジャム&ルイスと貫き、シングルが連続ヒット。グラミーも奪って兄の好敵手に名乗りを上げた。

『Rhythm Nation 1814』 A&M(1989)

貧困や差別へのメッセージを歌いつつ、よりヘヴィーに進化したニュー・ジャック流儀のファンク・サウンドを聴かせ、兄とは一線を画するストリート感と親しみやすさを両獲りした大作。とはいえ、曲調のバランスは『Bad』を意識した感も。

『janet.』 Virgin(1993)

ファーストネームを小文字で綴ってピリオドまで打った表題は、ジャクソン姓からの完全な脱却を示すもの。巨大化を極めていく兄を横目に、時代の空気にマッチしたパーソナルな作風をいち早く打ち出し、90年代らしいポップスター像を確立してみせた傑作。

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