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特集

EPILOGUE――ルーツ盤よりアヴェンズを解体(太郎編:その2)!

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年12月02日 18:01

更新: 2010年01月17日 15:08

インタヴュー・文/土田真弓

 

avengers_2

 

――そして……ほかにもあるんですよね?

太郎「いろいろあるんですけど……いいですか(笑)?」

――どうぞ(笑)。

太郎「じゃあスクエアプッシャーの『Ultravisitor』で」

――初めてロックじゃない盤が挙がりましたね。

太郎「ああ、そうですね。衝撃だったんですよね……小室哲哉がH Jungle with Tをやった時にこんな音楽があるのか、と」

――ああ、まずはジャングルから(笑)。

太郎「はい。そこが始まりで(笑)。それからいつの間にか、エイフェックスとかスクエアプッシャーでドリルンベースっていうワードが出てきて、まったく新しい音楽だっていう感じがありましたね」

――ドリルンまではいきませんが、ドラムンベースはavengersにも繋がりますよね。そういう盤は、他にもありますか?

稲見「今回(の作品を作ってる時)、ミューズをかなり聴いた。単純にベースの音がめっちゃ好きで、ストーリー仕立てなところもイイ。前に〈フジロック〉でライヴを観た時にすごいカッコよくて、ハマってしまって」

――特に聴いたアルバムはあります?

稲見「“New Born”とか入ってるやつ。黄色いジャケの」

太郎「『Origin Of Symmetry』だ」

――あの壮大さというか、過剰にドラマティックな演出が素晴らしいですよね。

稲見「そうですね(笑)」

――アルバム一枚でひとつの世界観を作るっていうのは、avengersも大切にしてるところでは?

稲見「そうですね。ま、曲並べるのは最後なんですけどね。客観的に聴いた時の入りやすさも成立させて、なおかつ最初から最後までひとつのコンセプトで繋がって聴こえるようにしたいなって」

――メンバーの皆さんのなかで、具体的なストーリーはあるんですか?

稲見「(太郎に)あるんですか?」

太郎「ストーリーありますよ(笑)」

――宇宙的な世界観という点では、avengersと繋がりますよね。どんどん地球から遠ざかっている雰囲気があるというか(笑)。

太郎「ああ~、そうですね(笑)。うんうん……それですいません、あと一個だけいいですか? コンセプチュアルなところで、今日2度目の登場なんですけど、マーズ・ヴォルタの『Frances The Mute』を入れといてもらって(笑)」

――これが最後で大丈夫ですか(笑)?

太郎「(笑)最後です。大丈夫です」

 

■そんなわけで、木幡太郎の追加の3枚

SQUAREPUSHER『Ultravisitor』Warp(2004)

リチャードD・ジェイムズに見い出されたドリルンベースの使い手による記念すべき10作目。愛すべき破天荒ぶりで脳内に大混乱を巻き起こす危険なグルーヴが満載だ。「ギリギリ破綻しない感じもいいし、メロディーがすごいきれい。スクエアプッシャーって、尖っててハチャメチャでノイジーなところが好きって言う人もいるのかもしれないですけど、俺はむしろ、カオスのなかのチラリズムじゃないけど、チラリと零れてくる美メロというか、耽美なところがすごい好きで(笑)。自分らのバンドでもわりとドラムンベース的なドラムをやってもらうことが多いですね」

 

 

MUSE『Origin Of Symmetry』Warner Bros.(2001)

瞬時に宇宙へ連れて行くコンセプチュアルな音世界を構築する、という点ではアヴェンズと激しく同期するUKの超ビッグ・バンドの2作目。キャッチコピーは〈過剰の美学〉。作品を経るごとにどんどん壮大になるド派手な演出は、いまのところ天井知らずの模様である。「ミューズって、宇宙人的なイメージをトータルで打ち出してるじゃないですか。どのアルバムも、デヴィッド・ボウイじゃないけど〈宇宙から来たぜ〉みたいな顔してるっていうか(笑)。でも音はハード・ロックっていう強引な組み合わせが、なぜだかハマっちゃってる(笑)。そんなふうに、アルバム単位じゃなくて、バンドとしてのコンセプトっていうか、バンド・カラーがはっきりしてるのはすごい好きですね」

 

 

THE MARS VOLTA『Frances The Mute』Universal(2005)

〈バンド仲間の死〉をコンセプトに掲げた2作目。彼らが構築する複雑怪奇な展開は、80分以上かけて深遠に広がる5つの組曲へと結実している。「ファースト・アルバム『avengers strikes back』を作った頃って、ニュー・オーダーとかのエレポップ的なものに影響を受けてて、〈コンパクトでナンボ〉みたいな意識があったんです。音楽のまっとうな進化っていうのは、20分のものを5分に詰め込むものだ、みたいな持論があって。でもマーズ・ヴォルタは逆に、アット・ザ・ドライヴ・インが3分から5分の音楽をやってたのを、15分とかに膨らませちゃってて。だから、俺は最初、マーズ・ヴォルタに関しては否定派だったんです。でも、最近改めてアルバムを通して聴いてみたら、完成度が素晴らしくて(笑)。ただ膨らませたって言い切るにはちょっと完成度が高すぎるな、5分間じゃ味わえない感動があるな、と。10分なり15分なりの曲を続けて70分間聴き終えて、1曲目に戻った時には懐かしささえ覚えるんですよね(笑)。コンパクト志向だったのが、マーズ・ヴォルタを聴き直したことで違う楽しみ方に目覚めたという。そこから〈よりコンセプチュアルな作品を作りたい〉っていう意識に繋がっての『jupiter jupiter』ですかね(笑)」

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